【W杯 今日は何の日?】(最終回)7月13日「ワールドカップの歴史が始まった日」

2014年07月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

最強ウルグアイと招待を受けた12か国が歴史の扉を開いた。

84年前、南米の小国でワールドカップが産声を上げた。写真は当時のメインスタジアムで、FIFA選定の「ワールド・クラシック・スタジアム」のひとつであるセンテナリオ。 (C) Getty Images

 それまで、サッカーの世界一を決めるコンペティションはオリンピックだった(南米ではすでにコパ・アメリカがスタートしていたが)。そして、1924年パリ大会、28年アムステルダム大会で圧倒的な強さを発揮して金メダルを獲得したのが、南米の小国ウルグアイである。
 
 第3代FIFA会長のジュール・リメにより、ワールドカップの設立が提唱された時、開催国として他にもイタリア、スペイン、オランダ、ハンガリー、スウェーデンの名が挙がったが、最終的にFIFA総会において満場一致で、1930年にウルグアイで第1回大会が開催されることが決定した。予選はなし。FIFAは世界中に出場国を募った。
 
 まだ世の中に旅客機が普及していなかった時代だ。欧州から南米までは長い船旅を要するため、招待を受けながらも欧州各国はほとんどがこれを辞退。ジュール・リメ会長の説得を受けた、フランス(リメ会長の母国)、ユーゴスラビア、ベルギー、ルーマニアの4か国が参加するに止まり、あとの参加国は全てアメリカ大陸の国ばかりだった。ちなみに日本も、この第1回大会に招待を受けた国のひとつである。
 
 建国100周年に沸くウルグアイは、記念すべき第1回のホストとして、9万人以上を収容できる巨大なエスタディオ・センテナリオなど首都モンテビデオに3つのスタジアムを用意して、12のゲストを迎えた。そして記念すべき第1回の開幕戦が行なわれたのが、1930年7月13日だった。
 
 当然ながら全てが初物尽くしの大会で、初めてワールドカップのキックオフの笛を聞いたのはフランスとメキシコ、そしてアメリカとベルギーだった(2試合が同時刻に開始)。そして開始から19分、エスタディオ・ポシトスでフランスのルシアン・ロランによるワールドカップ初ゴールが生まれ、長く続く歴史の第一歩が踏み出されたのである。
 
 大会初の勝者となったのはフランスとアメリカだが、この後、さらに16の熱い試合が展開され、約2週間後に初の世界王者となったのは、ラプラタ河を挟んで激しいライバル関係にあったアルゼンチンを4-2で破った、開催国のウルグアイだった。黄金のジュール・リメ・カップを授けられた我らが代表選手の勇姿に、センテナリオに詰めかけた大観衆が狂喜乱舞したことは言うまでもない。
 
 小規模ながらも、幕を開けたサッカー世界一決定戦。当時はあくまで試験的に行なわれたものであり、このウルグアイ大会の結果によってはすぐに消滅していたが、予想以上の収益を上げたことにより、このコンペティションは継続されることとなった。そして4年ごとに、その規模は大きくなり、世界中を魅了するビッグイベントとなっていった。
 
 20回目のワールドカップの王者がドイツとアルゼンチンによって争われる、今日7月13日。ちょうど84年前、全ては始まった。そしてこれからもずっと、世界一をめぐる戦いの系譜は続いていく。
 

◆7月13日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1930年ウルグアイ大会
「グループリーグ」
フランス 4-1 メキシコ
アメリカ 3-0 ベルギー
 
1950年ブラジル大会
「決勝リーグ」
ブラジル 6-1 スペイン
ウルグアイ 3-2 スウェーデン
 
1966年イングランド大会
「グループリーグ」
メキシコ 1-1 フランス
アルゼンチン 2-1 スペイン
ポルトガル 3-1 ハンガリー
イタリア 2-0 チリ
 
1994年アメリカ大会
「準決勝」
イタリア 2-1 ブルガリア
ブラジル 1-0 スウェーデン
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