「このまま、自分は終わるんじゃないか…」苦悩の末に新潟を飛び出した磯村亮太が新天地で抱く危機感

2018年08月20日 藤原裕久

J2で新潟が苦闘を続ける日々。そのとき磯村はなにを思っていたのか?

新潟で出場機会が限られていくなかで、J1の長崎への移籍を決断した磯村が、その胸中を明かした。(C) SOCCER DIGEST

 アルビレックス新潟でJ2を戦いながら、磯村亮太はプロサッカー選手としての危機感を覚えていた。それは、「初めて(名古屋から移籍)して分かることや、見えてくること」が多いからこそだった。

 新潟がJ2で苦闘し、キャプテンとして責任を感じるなかで、次第に自身が出場機会を失っていく日々に「このままでは、自分は終わってしまうんじゃないか」という危機感は強くなっていった。磯村のもとへ長崎からのオファーが届いたのはそんな時だった。

 J1残留へ向けて戦う長崎は、攻守両面の要となるボランチを今夏の補強ポイントの中心に位置付けていた。残りのリーグ戦を考えた時、中盤でボール奪取と縦にパスを出す能力があり、経験豊富なボランチの獲得は必須だった。
 何人かの候補のなかで、新潟で苦しむ磯村もリストアップされた。締切日が差し迫るなかで、当人と両クラブ間の話は進み、ほどなくして「長崎の磯村亮太」は誕生した。

 磯村の長崎デビューは、合流から3日とかからなかった。合流間もない8月5日に行なわれたJ1リーグ20節の浦和レッズ戦に73分から出場した磯村は、「みんなと一緒にトレーニングをやる時間もなかった」という言葉とは裏腹に、安定感のあるプレーを披露。

 さらに翌節のサンフレッチェ広島戦からは、ボランチの軸となっていた黒木聖仁のコンディション不良という事情もあって先発出場し、「時間がなくて、ゆっくりとトレーニングができないなかで、よくやってくれている」(高木琢也監督)という言葉どおり、トレーニングが不十分な中でも一定の適応ぶりを見せたのである。

 とはいえ、磯村本人は自身のプレーにまだまだと感じることも多いという。特に「長崎は距離感の良さを感じる」という攻撃面に対して、守備面では難しいと感じることが少なくない。

 それでも、ホームデビュー戦となった19日の鹿島戦では、1-2という結果以上に、厳しい内容で負けてしまったが、試合の立ち上がりには、中盤で積極的にボールを奪ってそのまま素早く縦にボールを出すなど、徐々にではあるが求められるプレーが見え始めてきている。

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