「彼に寄り添い、守るべきだった…」エジルを代表引退に追い込んだDFB会長が独全国紙で謝罪!

2018年08月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

あまりに突然すぎたエジルの引退発表

ロシアW杯後にドイツ代表を去ったエジル。その際に言い放った言葉はあまりにも強烈なものばかりだった。 (C) Getty Images

 現地時間8月19日、ドイツ・サッカー連盟(DFB)のラインハルト・グリンデル会長が、今年6月に突然の代表引退を表明したメスト・エジルに対して謝罪した。

 それはあまりに突然で、実に怒りに満ち溢れた引退だった。

 事の発端は、ドイツがグループリーグ敗退の憂き目にあった先のロシア・ワールドカップ終了後、グリンデル会長やドイツ・メディアが、大会前にエジルがトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と写真を撮影したことに非難を浴びせたことにあった。

 そうした批判を受け、エジルは6月22日に自身のSNSで、「人種差別やリスペクトに欠けた扱いを受けるかぎり、僕がふたたびドイツ代表のシャツを着ることはないだろう」と引退を発表。さらにエルドアン大統領との写真撮影に「政治的意図はなかった」と自身の考えを明らかにし、怒りの矛先をグリンデル会長に向けたのである。

「写真が拡散して問題になり、僕はヨアヒム・レーブ監督から連絡を受けた。バカンスを切り上げてベルリンに行くんだと。グリンデル会長に会うためにね。僕は正直に自分の考え、ルーツのこと、写真が撮影されるに至った経緯を説明したけど、彼は自分の政治的なポリシーや価値観について語るばかりで、まるで折り合わなかった。だから、取り決めたんだ。いまはワールドカップ前の大事な時期だからフットボールに集中しようと。僕はそれを守った。自分の考えはいっさい口外しなかったし、記者会見にひとつも出なかったのはそのためだ。なのに大会が終わると彼は、エジルはちゃんと説明すべきだとメディアに言い放ったんだ。まるでドイツが負けた責任までもが僕にあるかのようにね。スケープゴートにされるのだけは我慢がならなかった。

 29歳の天才司令塔の怒りと無力さに満ち溢れた衝撃の引退発表は、フットボーラーである前に一人の移民が差別的扱いを受けたことも明るみになり、ドイツのみならず、世界的に波紋を広げ、大きな話題を呼ぶこととなった。
 

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