【名古屋】5連勝の裏にあった風間監督の言葉。流れを激変させた「止める」「運ぶ」という指示の真意は?

2018年08月20日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

風間監督が求める「止める」「運ぶ」の定義は?

後半に見事な仕掛けを披露した名古屋。その裏には風間監督の的確な指示があった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ23節]名古屋3-0鳥栖/8月19日/パロ瑞穂
 
 8月19日、名古屋はJ1リーグ23節で鳥栖と対戦。前半は流れの悪い時間帯もあったが、21分に前田直輝のヒールパスから金井貢史が右足で先制点を奪った。

 そして、ハーフタイムを終えると、攻撃のギアがひとつ上がり、流動的なパスワークで相手を圧倒。64分に途中出場の和泉竜司、75分には前田が加点し、終わってみれば3-0の快勝で今季初の5連勝を達成した。
 
 試合後、前田は「前半は自分たちの思うようなサッカーができていなかったので、後半はあのように押し込む形ができて良かった」と話し、後半の出来に満足感を示した。
 
 では、いかにして前半の内容を修正したのか。ポイントになったのが、風間八宏監督がハーフタイムに伝えた「止める」「運ぶ」の定義だ。
 
「前半、2トップと両サイドハーフの4人がボールを止めていないのに動かしてしまった。なので、"運んでもいない、止めれてもいない"状態になって相手にボールを取られてしまうことが多かったと思う。結局、(止まっていない)ボールを追いかけてしまい、ワンタッチで一か八の勝負をしていた。なので、『止める』、『運ぶ』というのはベースなのでハーフタイムに選手へ伝えました」(風間監督)
 
 これはどういう意味なのか。指揮官はさらにこう続けた。
 
「止める時は止める。運ぶ時は運ぶ。そういう意味で止めるというのはボールが動いていないこと。さらに言えば、止めることは身体と一緒にボールが動いていない状態のことだと考えています。なので、止めるときは完全に止める。そういうのをしっかりとしようと話しました」

 3点目を奪った場面もそうだ。前田はこぼれ球を押し込んでネットを揺らしたが、そのふたつ前のプレーで完全にボールと身体を止めた。そこからゴールのきっかけを作るラストパスを和泉に送っていた。

 前田も「僕もワンタッチで持っていく部分があった。それは自分の癖。前半はワンタッチではたいて、相手の懐に潜ってピンチになった。ただ、(ハーフタイムに風間監督から)そういうところは一度落ち着いて止めてからでも大丈夫だから、そこから運べという指示がありました」
 
 それ以外でも後半は監督の言葉通り、選手たちはトラップしたうえでボールを前に運ぶようになった。その結果、ボールを失なう場面が激減。しっかりとパスを繋ぐことができるようになり、後半に2点を追加できたというわけだ。
 
 チームは風間監督のサッカーを自分たちのものにしつつある。5連勝を達成し、自信も深めた。名古屋が1試合ごとに、指揮官の求めるスタイルに近づいているのは間違いない。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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