興国高3年MFが岐阜でJリーグデビュー!! 目指すは東京五輪とJ1で活躍中のOB超え

2018年08月14日 安藤隆人

「年代別代表はかなり意識している」興国高・村田透馬がシビアな状況でデビュー

岐阜の特別指定選手としてデビューした興国高の村田。結果は伴わなかったが、好機に絡む場面も。写真:安藤隆人

 J2リーグ28節のFC岐阜対京都サンガF.C.の一戦。この試合で岐阜の特別指定選手であるMF村田透馬がJデビューを飾った。彼はまだ興国高サッカー部の3年生。来季の岐阜内定が発表され、夏休みを利用して練習に参加し、大木武監督の目に留まり、この大抜擢に繋がった。
 
 出番が訪れたのは2−2で迎えた79分だった。終盤での出番だが、試合は2点のリードを追いつかれての2−2という緊迫した状況。通常、まだ高3で特別指定段階の選手を起用する時は、ある程度点差が開くなどの余裕がある状況で投入し、まずは本番の雰囲気に慣らすものだが、村田はまさに混沌と化した『戦場』に送り込まれた。
 
「僕もあの展開での出番は少し驚きましたが、逆に点を獲ったらヒーローに慣れるとも思った」
 
 村田は臆するどころか、この状況をポジティブに捉え、むしろチャンスだと思っていた。そのメンタリティこそが彼の魅力で、実際にピッチに入ると積極的にボールを呼び込んで、左サイドハーフの位置でパスを受けては積極的に仕掛け、クロスを送った。
 
 しかし、88分、村田のサイドからカウンターを受け、京都のFWレンゾ・ロペスにこの日2点目となる逆転弾を浴びてしまう。自分が投入後に逆転ゴールを決められることは、相当なプレッシャーになるが、そこから彼は再び攻撃的な姿勢を前面に出すプレーを見せた。
 
「投入された直後は止まって受けるのではなく、動きながら受けようと思った。でも動きすぎてしまったので、ベンチからも『もっと我慢して幅を使え』という指示があったので、ワイドで張るようにしました」
 
 冷静にベンチからの指示に耳を傾け、打開策を摸索した。すると89分、左ワイドに張りながら、中央のMF三島頌平にボールが渡った瞬間、右サイドバックが中に食いついて出来たスペースを見逃さず、中に一度絞ってから一気に裏のスペースに飛び出した。そこに三島から絶妙なループスルーパスが届くと、胸でコントロールし、そのまま左足シュート。しかし、ミートしきれず、ボールは枠を逸れた。
 
 さすがに緊張したのかと思ったが、試合後のコメントを聞いても彼が恐ろしく冷静だったことが分かった。
「パスからのトラップはイメージ通りでした。シュートもニア上狙ったのですが、ちょっとミートしませんでした」
 
 タイミングをじっくりと見計らい、意図通りのトラップでボールを置き、GKとゴールの位置もはっきりと見えていた。これは判断ミスや焦りなどではなく、シュートがミートしなかった単純ミスだけだった。
 
 その後も左ワイドでボールを受けては、GKと最終ラインの間を狙ったグラウンダーのクロスを送り込むなど、攻撃のアクセントになった。
 
 試合は2-3の逆転負け。村田にとってはほろ苦いデビュー戦となったが、試合後の整列で腰に手を当てて、喜びに沸く京都サポーターをじっと見つめている姿が印象的だった。
 
「こんなに多いサポーターやファンの中でプレーするのが初めてで、ピッチに立っているだけで楽しかった。プレーも楽しめました。ただ、世界の大舞台で活躍するような選手は、デビュー戦だろうがきちんと決めきれる。なので、僕もそこは厳しくやりたい」
 

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