【W杯キープレーヤー解体新書】ヴェスレイ・スナイデル|2ライン間で発揮する絶品の創造性

2014年07月09日 ロベルト・ロッシ

ラスト30メートルで決定的なプレーを連発。

ベスト8進出を懸けたメキシコ戦では終了間際に値千金の同点弾を叩き込み、逆転勝利を導いた。 (C) Getty Images

 2012年1月にインテルからガラタサライに移籍して以降、クラブシーンでの存在感は薄くなった。それでもスナイデルは、オランダ代表で変わらず重要な存在であり続けている。
 
 コンディションさえ良ければ、ラスト30メートルで決定的なプレーを連発する。ポゼッションから仕掛けに移行する起点となる質の高いクサビのパスやサイドチェンジ、ゴールに直結するスルーパス、さらには高い確率で枠を捉えるFKを含めた高精度のシュートと、10番に相応しいクオリティーを備えている。
 
 トップ下でのプレーを好み、敵MFの背後に入り込んで攻撃を活性化するのが真骨頂だ。ボールプレーヤーゆえ、オフ・ザ・ボールでのダイナミズムには欠けるものの、2ライン(DFとMF)間で前を向いた際の創造性、アクションを起こすタイミングの感覚は絶品だ。
 
 欠点は、自分のプレーに酔い、あえて難易度の高い選択肢を選んで失敗する嫌いがある点。チームにより大きな利益をもたらすためにも、効率性を重視したシンプルなプレーを心掛けるべきだろう。
 
 例えば、1本の決定的なパスに固執せず、簡単にサイドに展開してウイングを走らせる、あるいはCFに当ててワンツーでゴール前に飛び込むといったプレーを増やせば、攻撃のリズムはよりスムーズになる。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト 出場32か国戦術&キープレーヤー完全ガイド』p27より抜粋。
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