【総体】OBの針谷岳晃を彷彿させる昌平の名キッカー!原田虹輝の"右足"が覚醒したワケ

2018年08月10日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

2年次の関東大会予選からキッカーを任されているが、当時は…

CKから2点をアシストした原田。キックの質に加え、様々なボールを蹴り分けられる能力も一級品だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 [インターハイ3回戦]昌平3‐2札幌大谷/8月9日/三重交通G

 圧倒的なキックの質だった。昌平の原田虹輝(3年)が8月9日に行なわれたインターハイ3回戦、札幌大谷戦で見せたプレーである。
 
 0-2で迎えた後半10分。右CKを獲得すると、キッカーを託された原田はライナー性のボールをニアサイドに送る。コース、質ともに申し分のない絶好球に吉田航(3年)が頭で合わせて1点を返した。

 この得点で重苦しい雰囲気を一掃すると、同14分に再び原田が魅せる。左サイドで得たCKで、次に選択したのは柔らかい軌道のボール。これを主将の関根浩平(3年)がヘディングで決め、ゲームを振り出しに戻した。
 
 昌平はセットプレーから奪った2点で息を吹き返し、試合の主導権を掌握。最後は後半30分に渋屋航平(3年)がゴールを奪って、勝負に蹴りをつけた。
 
 2回戦の青森山田戦に続く、鮮やかな逆転劇。その流れを生み出したのは、間違いなく原田だった。昨年からレギュラーとして活躍しているボランチだが、試合後に話を聞くと、衝撃の言葉が出てきた。
 
「あまりキックは得意ではなかったんです」
 
 昨年や今大会のプレーを見ても、まったくそんな気配を感じさせていなかっただけに驚きである。
 
 では、なぜ原田はプレースキックを任されるようになり、名手へと変貌を遂げたのか。それは昨春にキッカーを託されたことがきっかけだ。

「『監督に蹴ってみろ』と言われて、昨年5月の関東予選ぐらいから蹴っていた。それまでキックは下手だと思っていて、中学時代から得意ではなかったんです」

 キッカーを任されて以降も自信が持てなかった。しかし、多少手応えがあったインフロントキックを何度も繰り返していくと、徐々に精度も上がっていった。
 
 加えて、ふたつ上の昌平OB・針谷岳晃(現・磐田)から得た技術もプラスに働いた。

「プレーやキックから学ぶものが多かった。キックが力強く、種類も多彩だったんです」と言うように、1年次に見た先輩のプレーを掘り起こしながら鍛錬。その結果、多種多彩なキックを蹴り分けられるようになり、この札幌大谷戦では様々な球質を自在に操った。

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