【総体】大津のU-18代表MF水野雄太が示したエースの価値!悲願の全国制覇には、この男の力が不可欠だ

2018年08月09日 平野貴也

水野の得点感覚は非凡。左からのカットインシュートが最大の武器だ

「明後日3-0で勝つことを目標に頑張りたいです」と力を込めた。写真:平野貴也

[インターハイ3回戦]國學院久我山0-2大津/8月9日/三重交通G

 駆け引きに勝ち、得意のドリブルシュートで価値ある先制点を奪った。インターハイの3回戦。大津(熊本)は、2-0で國學院久我山(東京②)を破って8強入りを果たした。
 
 立ち上がりの攻勢をしのがれてしまい、徐々に相手が盛り返して来た時間帯に先制点を奪ったのは、U-18日本代表MF水野雄太だった。前半35分、味方のボランチが送った浮き球のパスに左から中央へ走り込むと、ドリブルで左サイドに進路を変えてマークをはがし、ゴール右へ冷静にシュートを決めた。相手ペースになりかけた試合の流れを変える、重要なゴールだった。
 
 水野のシュートセンスを評価している大津の平岡和徳総監督は「才能はね、ああいうところで表現しますよね。その前は外側を走って、相手の4番の選手(対面する右DF)に抑えられたから、次はしっかりと(内側を)カットインして4番の前でボールを受けた。あの辺の工夫、タイミングは良くなってきている」とチャンスを作り出す手前の工夫を評価した。
 
 豊富なタレントを揃える大津でもエース格。相手のマークは厳しくなる。いくらシュートが上手くても、良い形で打てなければ得点力は発揮できない。ピッチ内での駆け引きからゴールを決めた水野は「とにかく、仲間を信じてスプリントすれば、良いボールが出てくると思っていました。あとは、GKを見て、相手をうまくかわせたので、冷静に流し込むだけでした。最初、(縦への動きを)ブロックされてしまって走れなかったので、ちょっと内側に走ってみようかなと思ったら、案外、上手くいったので良かったです」と笑顔を見せた。
 
 非凡な得点感覚は、昨年から実証済み。今季は、地区予選の準決勝でルーテル学院を破った日に、初めてのU-18日本代表招集が発表された。6月に行なわれたリスボン国際トーナメントU18に参加。今月6日には、SBSカップ国際ユースサッカーのU-18日本代表招集も発表された。
 
 水野は「海外では、守備を意識してやったら、ゴツくて速い相手でもやっていけた。ただ、攻撃に切り替わった時に、相手の足の長さに戸惑って自分のストロングポイントを出し切れなかったのが悔しい。だけど、もう一度呼ばれたので、今度はひとつ上の(10月にU-20ワールドカップの予選を兼ねるU-19アジア選手権に臨む)U-19日本代表に入っていけるように、とにかく点を取ってアピールしていきたい」と闘志を燃やした。
 
 水野の得点感覚は、非凡だ。左からのカットインシュートが最大の武器。身長は173センチで小柄だが、ゴール前に飛び込むヘディングシュートも得意としている。今大会は、初戦でワンタッチゴールを決め、昨冬の選手権を制した前橋育英(群馬)との第2戦では2アシストで勝利に貢献。この日の3回戦でも先制ゴールと得点に絡み続けている。
 
 中1日で臨む11日の準々決勝では、優勝候補の青森山田(青森)などを破って勝ち進んでいる昌平(埼玉)と対戦するが、立ち止まるつもりはない。水野は「今のところ、得点に絡めているけど、もっと点を取って、ディフェンス陣を楽にさせたい。明後日は、ギュンギュン行って、ゴールを取って、3-0で勝つことを目標に頑張りたいです」とゴールラッシュに意欲を示した。
 
 大津の8強進出は、準優勝した2014年大会以来、4年ぶり。先輩たちを超えて悲願の日本一を達成するためには、水野の活躍が欠かせない。
 
取材・文●平野貴也(フリーライター)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事