【総体】青森山田を破ったのは伊達ではない!昌平がまたも2点差を撥ね返して8強入り

2018年08月09日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

高質なセットプレーが逆境を跳ね返すきっかけとなった

1点目は吉田(4番)、2点目は関根(5番)。いずれも原田のCKから生まれたゴールだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 [インターハイ3回戦]昌平3‐2札幌大谷/8月9日/三重交通G

 8日の2回戦で青森山田を撃破した昌平。0-2からの逆転勝利は多くの人に衝撃を与えた。そして、迎えた9日の3回戦。札幌大谷と対戦した昌平は、またしても先に2点を奪われる苦しい展開となった。
 
 真っ向から勝負してきた青森山田とは異なり、札幌大谷は強固な守備ブロックを構築。すると、昌平は前半から攻めあぐねてしまう。

 なかなかペナルティエリア内に入り込めず、後手を踏む展開に。ゴールをこじ開けられないでいると、一瞬の隙を突かれて2点を捻じ込まれたのだ。
 
「青森山田と戦ったので、いつも以上に疲労が残っていた」と関根が言うように、2回戦の激闘はチームに大きなダメージを残した。その状況に加え、0-2。この劣勢をひっくり返す作業は困難かと思われたが、昌平はここから挽回する。
 
 後半10分に吉田航(3年)、14分に関根浩平(3年)。いずれもCKから2発を叩き込んだ。これで一気に勢いに乗ったチームは30分に右サイドを打開し、渋谷航平(3年)が鮮やかに逆転弾。見事に前半のビハインドを跳ね返し、ベスト8進出を決めたのだ。
 
 一気呵成の攻めで勝利を掴んだ昌平。なぜ、再び2点のビハインドを跳ね返せたのか。それは攻撃の引き出しが豊富だったからだ。
 
 自慢のパスワークを封じられたこの日、3得点中2得点はCKから生まれた。そのキッカーを務めていたのは原田虹輝(3年)だ。右足から高質なキックを繰り出し、ピンポイントで味方につける技術は一級品。多種多彩なボールを蹴り分ける術も持ち合わせており、様々なパターンでゴールを陥れる術を持つ。
 
 一方、中で構える選手たちも創意工夫を凝らす。ターゲットはヘディングに自信を持つ関根。周囲はそれ活かすために相手DFをブロックし、いかに競りやすい状況を作るかにこだわっている。このふたつが合わさり、高精度のセットプレーが成り立つ。キッカーを務める原田が「ボールを入れるポイントはみんなで把握している」というように、セットプレー時の約束事をチームで共有できているのも大きい。
 
 2回戦の青森山田戦ではパスワークやミドルシュート、札幌大谷戦ではセットプレーで勝機を手繰り寄せた。11日の準々決勝では優勝候補に挙げられる大津と対戦する。2年前の先輩たちに並ぶ4強入りを掴み取れるか。豊富な攻撃のパリエーションを駆使すれば、十分にその可能性はある。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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