山口蛍が思うF・トーレスがJリーグでプレーする意味。だからこそ、仲間に伝えたいのは…

2018年08月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

「フェルナンド・トーレスとやれることはなかなかない」(山口)

後半はF・トーレスの裏抜けに手を焼いた山口。改めて世界基準を思い知らされる形となった。写真:徳原隆元

[J1リーグ20節]鳥栖1-0C大阪/8月5日/ベアスタ

 鳥栖が1-0でC大阪を下し、7戦ぶりの勝点3を挙げた。これがフェルナンド・トーレス加入後初勝利。スタジアムに駆け付けたサポーターも勝利に酔いしれ、試合終了後のスタジアムは多くの人の笑顔で溢れた。
 
 その一方で敗れたC大阪は6戦未勝利。リーグ戦中断前の5月20日以降勝利がなく、浮上のきっかけを掴めずに試合を終えた。苦境に立たされているなかで、山口蛍は「失点がもったいなかった」と反省。「(鳥栖は)前に強力な2枚がいるので、カウンターを喰らってしまった」と、F・トーレスと金崎夢生の2トップに手を焼いた展開を振り返った。
 
 とりわけ、F・トーレスの存在は大きかったようだ。
 
「シンプルなロングキックを収めてしまうだけの能力があるので、それもやっぱり凄い」「もっとコンディションは良くなってくると思いますし、状態が上がっていなくてもできる」
 
 幾度も速攻の起点となった元スペイン代表のプレーには地力の差を痛感した。ただ、山口はその働きぶりを見て、凄いなと思うだけでは意味がないとも考えている。

 そう思うのには訳がある。山口は先日閉幕したロシア・ワールドカップに日本代表の一員として参戦し、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では後半途中から出場。世界基準を身を持って味わい、最後は超高速カウンターから決勝点をねじ込まれた。

 だからこそ、チームメイトにはF・トーレスとマッチアップすることで多くの経験値を得てほしいと願うのだ。

 囲み取材の際に「ロシア・ワールドカップのベルギー戦があったからこそ言えるものがあるか」と尋ねてみると、「僕が直接競りに行くわけではないのですが…」と前置きした上で「(ベルギー戦のカウンターのことはC大阪の)CBにも言っている。(世界レベルの)フェルナンド・トーレスとやれることはなかなかない。経験を積む機会にしてほしい」という答えが返ってきた。

 Jリーグで世界レベルを体感できる意味――。山口の言葉には、誰よりも説得力があった。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)
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