J1後半戦へのビジョン|FC東京編|「ナンバー10」梶山の復帰でポゼッション志向へ

2014年07月05日 馬場康平

梶山をアンカーに配し、新たな攻撃の形を構築。

10位につけるFC東京は、フィッカデンティ監督のもと夏仕様のサッカーに切り替える。 (C) SOCCER DIGEST

 マッシモトーキョーは、本格的な夏場の戦いに向けて新たな取り組みを見せている。6月20日から8日間、秋田県にかほ市で行なわれた合宿では、FC東京が再開後に目指すスタイルが明らかになった。マッシモ・フィッカデンティ監督は、「暑い時期は、ボールは水のようなモノだ。そう、まさに宝物だ。絶対に奪われてはいけないし、奪い取ることにもエネルギーを使う。まず、この期間にチームを環境に最適化させていかなければいけない」と言い、チームのマイナーチェンジに着手した。
 
 その最適化に向けたアプローチの一環としてこのキャンプでは、走り込みに多くの時間を割いていた。高温多湿の夏場の戦いを見越して、走力の強化を図ったのだ。さらに、そうしたコンディション作りとともに、ボールを保持するためのビルドアップの強化にも乗り出した。指揮官は高温多湿の日本の夏を乗り切るためには、ボールを保持して休息する時間を持たなければいけないという。そのため、ビルドアップのトレーニングも徐々に時間を増やしていった。
 
 さらに、それに応じて徳永悠平をCBにコンバートし、松田陸を右SBに配置した布陣を試行している。徳永がCBに入ることで、チーム全体のビルドアップが安定し、松田の高い攻撃力を生かすことができれば、左に偏りがちだった攻撃が左右に均整化されるだろう。
 
 こうした配置転換は、右膝の負傷から練習に復帰したばかりの梶山陽平の存在が大きく影響している。フィッカデンティ監督は、梶山を紅白戦やポゼッション練習でアンカーに配し、この背番号「10」を経由する攻撃の形を構築し始めた。ボールを保持するスタイルへと舵を切ったのは、夏場の戦いを見越したことに加え、梶山の復帰があったからだ。
 
 そして、その梶山は、すでにフィッカデンティ監督の期待に応えるプレーを見せている。梶山は最終ラインからボールを引き出すと、1タッチ、2タッチで素早く周囲につなげる。海外挑戦で培った経験を生かし、シンプルなプレーに徹しているのだ。梶山は「ギリシャに行って、ボールを受ける前に周りを見る癖がついた。だから、余裕を持ってプレーできるようになった」という。ピッチ上で常に首をふって周囲の状況を把握し、最適な選択肢を見つけて的確にパスを通す。そのプレーぶりに、フィッカデンティ監督も感嘆の声を上げた。
 
「ビジョンを持っていて視野も広い。私も公式戦での彼のプレーは見たことがないので楽しみにしているよ」
 
 リーグ再開後は、この梶山がチームの中心となっている可能性もある。指揮官の祖国イタリア代表で絶対的な存在のアンドレア・ピルロをほうふつとさせるプレーぶりは、夏仕様のポゼッションスタイルには不可欠となるだろう。
 
 7月12日の天皇杯2回戦、さらに19日のJ1リーグ再開となる鹿島戦で全貌が明らかになる。マッシモトーキョーは、このサマースタイルを引っ提げて、現在10位に沈むJ1リーグでの巻き返しを図る。そのキーマンは、間違いなく青赤のナンバー10だ。
 
取材・文:馬場康平(フリーライター)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事