「浮かれている場合じゃない」"トーレス効果"に沸くチームに権田修一が愛ある忠告

2018年07月25日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「こういう試合で僕らは勝たないと」

権田はF・トーレスの加入を活かすためにも、鳥栖がこれから本当に大事にするべきことを説いた。写真:山崎 賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ17節]鳥栖 0-1 仙台/7月22日/ベアスタ
 
「今日見に来た人たちはサガン鳥栖を応援しに来たんじゃなくて、ただフェルナンドを見に来ただけ」
 
 0-1で敗れた仙台戦後、鳥栖の権田修一はそう言った。たしかに、この試合の最大の関心事は、新加入したフェルナンド・トーレスのホームデビューだ。それは、大物助っ人がウォーミングアップをした時、ゲームが落ち着いた展開だったにも関わらず、"神の子"の登場に大きな盛り上がりを見せたことが物語る。ベンチ側にいる二階席の一部のサポーターに至っては、試合をそっちのけで下に目線を移していた。
 
 そんな状況について鳥栖の守護神は「負けてもスタンドの皆さんは悔しそうじゃなかったですよね」と言う。とはいえ、「やっぱりお客さんが入るのは良いですね」とも話す。だからこそ、F・トーレスを獲得した鳥栖がこれから重要視しなければいけないことを説いた。
 
「サガン鳥栖を応援していないお客さんたちを取り込めるかどうかは、今日みたいな試合に勝つかどうか。こういう試合で僕らは勝たないと、毎週このお客さんの数でやれなくなるので。ここ1、2試合でお客さんがばーって来ましたじゃなくて、そこからサガン鳥栖のサッカー面白いな、サガン鳥栖を応援したいな、って思ってもらわないと。(それが)フェルナンドを獲ったひとつの意味。社長なり、いろんな方が頑張ってあれだけの選手を獲ってくれたので、それにしっかり答えなきゃいけないと思います」
 入場者数は15節・FC東京戦の12,163人から、17節・仙台戦は17,537人にアップ。"トーレス効果"はあり、ベストアメニティスタジアムも大いに賑わっていた。それでも、権田はチームに釘を刺すように言葉を続けた。
 
「僕ら今、浮かれている場合じゃないので。今日の試合だって勝点3を獲らなきゃいけないし、自分たちの順位(降格圏の17位)を現実的に見ないと。今はじゃあフェルナンドが来て盛り上がって良い感じだよね、それであと5試合になったらやばいじゃん、ではダメなので。気づいたら落ちていた、では意味がない。まだスタジアムに来ている人はお祭り気分だと思いますけど、やっている僕らはそれに変に流されないように。もしかしたら、それでネガティブになってしまう可能性も秘めていると思うので、僕らはしっかり地に足を着けて、今の自分たちがどういう状況にあって、ここから先にどうしなければいけないのか、そこをしっかりやらないと」
 
 ワールドクラスのストライカーのパワーを勝利に結びつけ、まずは降格圏脱出を目指す。そして、白星を重ねて新規サポーター獲得につなげ、ファンの後押しを受ける強いチームになる。権田はそんな"F・トーレス加入の好サイクル"を願って、チームに愛を持った忠告をした。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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