イニエスタが起こす"化学反応" 最大のメリットはポドルスキとの"役割分担"か

2018年07月24日 白井邦彦

イニエスタは左のインサイドハーフ、ポドルスキは右ウイングが最適か

Jリーグデビュー戦で、その能力の高さを見せつけたイニエスタ。チームとの融合が進めば、さらに脅威を与える存在になるだろう。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 湘南戦のスコアは0−3。神戸に新加入したアンドレス・イニエスタのJリーグデビューは、ほろ苦いものとなった。だが、随所に"さすが"のプレーを見せ、スタジアムに詰めかけた約26,000人を湧かせてみせた。
 
 足に吸い付くようなトラップ、相手に飛び込ませない間合い、エリア内での鋭いドリブル、味方が処理しやすいパス……。88分頃にウェリントンへ出したスルーパスは圧巻だった。
 
 しかも、まだまだピークパフォーマンスでは無いと本人は言う。チーム合流3日目で、前節の長崎戦に出た主力組とはリカバリーの関係でほぼ一緒に練習していない状況。それでも試合の流れを一変させたのだから脱帽するしかない。
 
 その状況を踏まえつつ、やや強引だが、イニエスタ加入がもたらすチームケミストリー(化学反応)を考えてみたい。
 
 まず湘南戦後に吉田孝行監督が話したイニエスタ評から。
 
「彼は自分のプレーを淡々とやるタイプ。随所にいいプレーもあったが、準備期間が短かったこともあり……。周りの選手が彼のプレーを理解すれば、もう少しいい反応ができたと思います」
 
 吉田監督が言うように、イニエスタはバルセロナやスペイン代表と同じように、主に左サイドでパスを受け、攻撃の起点を作った。おそらく今後もこのスタイルを変えることはないだろう。
 
 そう考えると、やはり基本フォーメーションは4−3−3になると思われる。湘南戦でもイニエスタ投入後は4−4−2からシステム変更している。この試合では三田啓貴が警告累積で欠場していたが、おそらく次節からはアンカーに藤田直之、その前にイニエスタと三田を置く中盤の構成が予想される。
 
 それに伴い、ひとまずウェリントンと渡邉千真の2トップはオプション扱いに。湘南戦での前3枚は中央にウェリントン、右に大槻周平、左に田中順也という構成だったが、このあたりは流動的になりそう。というのも、現在怪我でチームを離れているルーカス・ポドルスキの復帰後を視野に入れなければならないからだ。
 
 守備面を考えると、中盤3枚の構成は先述のまま、前3枚のどこかにポドルスキを置くのが現実的。イニエスタからの正確なリターンパスがあるのを前提に考えれば、ポドルスキのポジションは、左足シュートに持ち込みやすい右サイドがベターか。
 
 今まで通りフリーマンという位置付けになる可能性もあるが、いずれにしても司令塔になれるイニエスタの加入で、ポドルスキがよりゴールに集中できるのでないかと思われる。イニエスタ加入の最大のポイントは、ポドルスキに操られるのではなく、"操れる"ようになることかもしれない。
 
取材・文●白井邦明(フリーライター)
 
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