W杯準決勝で歓喜の輪に“巻き込まれた”カメラマン、クロアチア観光局からバカンスをプレゼントされる!

2018年07月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

「決勝でクロアチアを応援していた」とコルテス氏

ラキティッチに心配されるコルテス・カメラマン。クロアチアとの素敵な縁はこれからも続いていきそうだ。 (C) Getty Images

 ロシア・ワールドカップの準決勝のクロアチア対イングランド戦、1-1で突入した延長戦の後半4分、クロアチアがマリオ・マンジュキッチのシュートで決勝点を奪った後のことを憶えているだろうか?
 
 スタンドのサポーターと喜びを分かち合おうとしたマンジュキッチがコーナースポット付近まで走ると、チームメイトが追いかけて彼に抱きつき、さらにベンチからサブの選手たちもこれに合流。マンジュキッチは重さに耐え切れず、彼とともに何人かの選手がピッチに倒れてしまった。
 
 そこにいたのが、激戦を撮影していたユーリ・コルテス氏。フランスの通信社「AFP」のメキシコ支社に所属する53歳のカメラマンは、「選手が降ってきた」(本人談)ことで、座っていた椅子ごと後方にひっくり返ってしまった。
 
 しかし、このエルサルバドル出身の"プロフェッショナル"は突然のアクシデントにも仕事を忘れることなく、倒れたままの状態で、至近距離で喜ぶ選手たちにカメラを向け、貴重かつ美しい瞬間を連写し続けたのだった。
 
 その後、選手たちに抱き起こされて怪我をしていないか心配された後、DFドマゴイ・ヴィーダからはキスされ、マンジュキッチからは握手を求められたコルテス氏。拡散されたその選手たちのどアップ喜び写真とともに、一躍話題の存在となった。
 
 と、これで話は終わったかと思われたが、7月20日、クロアチア観光局は、なんとコルテス氏を自国に招待することを発表。彼とその家族に、夏のバカンスをプレゼントしたのである。
 
 観光局のクリスチャン・スタニチッチ氏によると、「どの大会にも興味深い逸話が存在するものですが、ロシア大会でいえば、クロアチア選手の喜ぶなかでコルテス氏がアクシデントに遭い、それでも印象的な写真を撮影し続けたことが挙げられるでしょう」と語り、このカメラマンを招待する理由を語った。
 
「この歓喜の写真は世界中から注目され、またコルテス氏によって、クロアチア選手の行儀の良さも知れ渡ることになりました。クロアチアは美しい国であり、人々はとても温かく友好的です。そんな我々の国に、コルテス氏を迎えることができ、とても嬉しく思います」
 
 コルテス氏は8月の終わりから9月の頭にかけてバルカン半島を訪れ、首都ザグレブをはじめ、国内の名所、人気の観光地である海岸や島などを周遊することになるという。この申し出を受け入れたカメラマンは、クロアチアへの感謝と親しみの言葉を残している。
 
「このような親切なオファーを断ることはできなかった。クロアチアを訪れることができるのは、大きな名誉だ。あの試合で私は、この国と繋がった気分になり、決勝でも応援していたんだよ」
 
 アクシデントが生んだ素敵な縁。夏のクロアチアの旅は、コルテス氏とその家族にとって忘れられないものとなるだろう。
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