J1後半戦へのビジョン|横浜編|「1トップのラフィーニャ」が鍵に

2014年07月02日 藤井雅彦

キャンプ不参加はややマイナス。

リーグ戦と並行しACLを戦った序盤戦は苦戦が続いた。課題の得点力不足を解消できるか。 (C) SOCCER DIGEST

 7月1日、横浜は新外国籍選手として元G大阪FWのラフィーニャの獲得を発表した。序盤戦を終えて暫定12位。苦戦の要因として挙げられているのは「得点力不足」だ。14試合で13得点は明らかに物足りない。嘉悦朗社長はシーズン開幕前から「必要ならば(補強を)考える」と明言しており、現状を受けて補強に動いたわけだ。
 
 世間の関心がワールドカップに集まるなかで、横浜は6月20日から28日まで新潟県十日町で夏季キャンプを行なっている。しかし、そこに前所属の蔚山現代との契約交渉が7月1に成立したばかりのラフィーニャの姿はなく、合流はチームが横浜に戻ってからとなった。
 
 当のラフィーニャは、合流初日からフルメニューをこなしたことからも、コンディションの良さが窺える。とはいえ、静かな環境で集中して練習に取り組めるキャンプ期間をともに過ごせなかったのはややマイナスか。したがって現時点でラフィーニャの起用法などは不透明なまま。移籍ウインドーが開いて登録可能になるのは7月19日のC大阪戦で、それまでの3週間弱がチームに適応するための時間となる。
 
 序盤戦の横浜は、主に4-2-3-1を採用し、1トップは伊藤翔か藤田祥史が務めてきた。トップ下に中村俊輔が君臨する現状のシステムを変更するとは考えにくい。当面、ラフィーニャは伊藤や藤田と1トップのポジションを争うことになるだろう。G大阪時代は2トップの一角を担っていただけに一抹の不安が残るが、樋口靖洋監督は助っ人FWのプレーの性質を見て前向きに考えている。
 
「彼はしっかりボールを受けられる選手。中盤でゲームの作りに参加して、そこから裏へ飛び出して、ボックス内で決定的な仕事ができる。彼がフィットすれば中盤での落ち着きどころがひとつ増える」
 ゴールはもちろん、横浜の1トップには攻守両面で中盤と最終ラインを助ける仕事が求められる。マイボール時は安定したポストプレーで全体の押し上げを促し、相手ボール時には迫力あるプレスが要求される。その上で、相手ゴール前で決定的な仕事ができる選手。そのすべてをハイレベルにこなしていたのが、昨シーズンまで所属していたマルキーニョス(現神戸)だった。
 
 バージョンアップへの鍵は、ラフィーニャが1トップをどの程度こなせるかにかかっている。加入前日の6月30日に27歳になったばかりで、年齢的にはまだまだ成長の余地を残す。攻守におけるタスクを着実にこなし、選手間の相互理解が深まれば、得点の量産も期待できるだろう。中村や齋藤学のお膳立てからゴールネットを揺らす姿が数多く見られるはずだ。
 
取材・文:藤井雅彦
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事