モドリッチは「誰よりも小さいが、誰よりも大きく見えた」。バロンドールにも値する

2018年07月17日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

ゴールデンボール受賞に異論は一切ない。

クロアチアを史上初の決勝に導いたモドリッチ。(C)Getty Images

【ロシアW杯決勝】フランス4-2クロアチア/7月15日/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)
 
「ゴールデンボール(大会MVP)はルカ・モドリッチ」
 
 ファイナル後のセレモニー。会場でそんなアナウンスが流れると、クロアチア・サポーターからはもちろん、フランス・ファンが陣取るエリアからも万雷の拍手が送られた。今大会のパフォーマンスが、まさに敵もあっぱれだったからだろう。
 
 シルバーボール(2位)のエデン・アザール、ブロンズボール(3位)のアントワーヌ・グリエーズマンとの争いを制したモドリッチだが、1998年大会のロナウド、02年大会のオリバー・カーン、06年大会のジネディーヌ・ジダン、14年大会のリオネル・メッシと同じく、チーム自体は悔しい準優勝に終わっている。コメントもやはり元気がなかった。
 
「もちろん表彰は嬉しいよ。でも僕はW杯で優勝したかったんだ。あと少しだったんだよ。とてもほろ苦く、悲しいよ」
 
 とはいえ、モドリッチのゴールデンボールに異論は個人的に一切ない。MOM受賞はアザール、グリエーズマン、ハリー・ケインと並ぶ大会最多タイの3回で、2ゴール・1アシストという分かりやすい数字以上にその存在感はとにかく際立っていたからだ。
 
 登録メンバー23人の平均身長が185.3cmと大会屈指の大型チームで、フィジカルに優れたモンスターたちが居並ぶクロアチアにあって、172cm・66kgともっとも小兵で細身なモドリッチは、一見するとかなり小さく見える。
 
 しかし、そのサッカーセンスは他の追随を許さなかった。ボールをキープして捌き、ゲームをコントロールし、縦志向の強い攻撃に彩りを加えた。得意のアウトサイドキックのパスは長短を問わずまさに芸術品。キックフェイント2回で敵DFを手玉に取って決めたアルゼンチン戦のミドルシュートは大会屈指のゴールだろう。
 
 そして、何よりも"魂のプレー"が人々の心を打った。大柄な相手に果敢にデュエルを仕掛け、身体ごと吹っ飛ばされても立ち上がって食い下がる。ルーズボールやセカンドボールの処理などにも誰よりも献身的に走った。「諦めないクロアチア」のまさに象徴だったのだ。
 
 ラウンド・オブ16から3試合連続で120分間を戦い、準決勝の延長戦では明らかに疲労困憊に見えた。しかしそれでもモドリッチは足を止めず、自分のミスの後にボールを追いかけてタックルを決める。そして味方に身体を支えられながら立ち上がると、また走っていった。文字通り全身全霊を懸けて戦ったのだ。
 
 モドリッチの身体は誰よりも小さかった。でも、誰よりも大きく見える選手だった。
 
 レアル・マドリーでCLを制覇し、W杯ではクロアチア史上初だった決勝進出の立役者となったのだ。チームメイトや関係者が「2018年のバロンドールをモドリッチに」と騒ぐのも無理はない。その資格は十分にあると自信を持って言える。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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