「間違った判断」 フランスに2点目をもたらしたPKの判定に英『BBC』の解説者たちは「NO!」【ロシアW杯】

2018年07月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

「確信が持てないのならファウルにすべきじゃない」とバッサリ

フランスは主審にハンドをアピールし、VAR判定によってPKを獲得。グリエーズマン(背番号7)が冷静に流し込んで2点目を決め、前半での勝ち越しに成功した。(C)Getty Images

【7月15日 ルジニキ|決勝 フランス 4-2 クロアチア】

 ロシア・ワールドカップ決勝が7月15日に行なわれ、クロアチアを4-2で退けたフランスがチャンピオンに輝いた。20年ぶり2度目の世界王者となった"レ・ブルー"(代表チームの愛称)に、世界中が称賛の拍手を送っている。

 ただ、フランスに2点目をもたらしたPKのシーンについては、今後しばらく議論を呼びそうだ。英公共放送『BBC』が報じている。

 34分、CKを獲得したフランスは、アントワーヌ・グリエーズマンのキックに対し、ブレーズ・マテュイディがニアサイドで合わせようと反応するものの、ボールは頭の上を超え、背後にいたクロアチアのイバン・ペリシッチにブロックされてしまう。

 当初、アルゼンチン人のネストル・ピタナ主審は、ペリシッチに当たってボールがゴールラインを出たため、フランスに再度CKを与えようとしていた。

 だがここで、フランスの選手たちがいっせいにペリシッチのハンドを主張すると、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で該当のプレーをモニターで確認へ。その結果、当初のCKの判定は覆り、フランスにPKが与えられた。そしてこれをグリエーズマンが冷静に蹴りこみ、2点目を挙げている。

 はたして、本当にPKに値するプレーだったのか。ペリシッチの反応はどう判定されるべきだったのか。

『BBC』の解説者として試合を見守っていた元マンチェスター・ユナイテッドのリオ・ファーディナンドは、「間違った決断が試合を決めてしまった」と嘆いた。

「だれもが100%ペナルティーとは言い切ることができないあのシーンを、主審はPKと判断した。ただ、ペリシッチは意図的にボールに触れているようには見えないし、あれが故意だとしたら反射神経があまりに良すぎる。決定を下すのに時間がかかっていたということは、確信が難しかったということだろう。できればこんな方法で試合が決まって欲しくはなかった」
 
 ファーディナンド以外の解説者たちも、この判定に異議を唱えている。

 元イングランド代表FWのアラン・シアラーは「PKを与えるファウルだとは思わない。クロアチアは鮮やかに試合をこなしていた。素晴らしい大会の王者が、こんな判断ミスで決定されるのであれば、非常に悲しいことだ」と語った。

 元ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマンも、「確信が持てないときはファウルを与えるべきではない。PK判定は間違った決定だ」と明確に否定した。

『BBC』は「今回導入されたVARによって試合中のPKの数は増加し、ワールドカップ史上最多となった。ただし、主審の負担が少なくなったと言われる一方で、判断の方法には議論の余地も十分に残されていそうだ」と締め括っている。
 
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