J1とJ2のレベルの差はいかほどか?町田ゼルビアが天皇杯で直面した現実

2018年07月14日 郡司 聡

幅と奥行きを駆使した鹿島のパスワークと人の動きに翻弄された

鹿島との初対決に挑んだ町田は、健闘及ばず1-5で敗れた。写真:徳原隆元

 今季の目標を「6位以内」に掲げた町田は、相馬直樹監督の下、「J1基準のチーム作り」(相馬監督)を目指し、日々のトレーニングに取り組んできた。ミッドウィークの11日、天皇杯ラウンド16進出をかけて対戦した「J1の中でも一目置かれるチーム」(同監督)である鹿島との初対決は、J最多を誇るタイトルホルダーに対して、J2・4位の町田がどこまで戦えるのか。今季の町田を測るうえで"試金石"とも言えるゲームだった。
 
 試合の立ち上がりは開始3分に平戸太貴がシュートを放つなど、「相手に少し勢いを与えてしまった」(大岩剛監督)鹿島を尻目に、町田がペースを握った。しかし、10分に遠藤康のCKから西大伍に先制点を奪われた直後から状況が一変。20分には右SB内田篤人の正確なサイドチェンジを受けた逆サイドの安西幸輝に、縦に仕掛ける形からクロスボールを入れられると、ゴール前でフリーだった鈴木優磨のヘディングで追加点を許した。
 
 早い時間帯に奪われた先制点のダメージは大きく、ボランチに起用された土岐田洸平は「先制された後の質の高いプレーの連続で萎縮してしまった部分があったかもしれない」と前半の展開を振り返っている。
 
 鹿島相手にも戦い方に一切のブレはなかった。「引いて守ることは、今のウチには未来がない話」とまで李漢宰が言い切った町田は、全体の陣形をコンパクトに保ちながらボールサイドに人数を割き、前から積極的にプレスを掛けて、奪ったボールをショートカウンターにつなげるチームスタイルで真っ向勝負を挑んでいた。
 
 しかし、2失点目のように「ボールサイドに寄った守備をしてくるゼルビアに対して、サイドチェンジを多用しながら戦う」(鈴木優磨)アプローチで崩しに来た鹿島の攻撃を抑えきれない。仮に町田が思い切ってボールサイドに人数を割いてボールアプローチを試みても、幅と奥行きを駆使した鹿島のパスワークと人の動きに翻弄されてしまう。
 
 やはり早めの先制点献上が鹿島の精神的優位性を生み出し、町田はボールの奪いどころを定められずに、時計の針だけが進んでいった。期限付き移籍元である鹿島と対戦した平戸太貴は言う。
 
「相手のパスを回すテンポも良いので、鹿島が間に入れてくるのか、サイドにボールを入れてくるのか絞りづらい部分がありました。自分が相手に寄せてボールを奪い切ることや、もっと制限をしてチームとしてボールを奪い切ることをやりたかったのですが、そこで鹿島にはワンツーや潜り込む形を作られて、その中でパスを回されて体力を削られる部分がありました」
 

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