「俺にはサッカーしかなかった…」 いわれない非難に苛まれてきたポグバ、世界制覇へ燃える【ロシアW杯】

2018年07月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

“将軍”や“マエストロ”の系譜を継ぐ男。

エムバペやグリエーズマンといった精鋭たちとともにフランスを決勝まで導いたポグバは、過去の雪辱を晴らすために闘志を燃やしている。 (C) Getty Images

 悲願となる20年ぶりの世界制覇まであと一勝と迫ったフランス。"将軍"の系譜を継ぐ男が、並々ならぬ闘志を燃やしている。

 このロシア・ワールドカップでのフランスの戦いぶりは盤石だ。グループリーグを2勝1分けで難なく首位通過すると、決勝トーナメントでは、アルゼンチン、ウルグアイ、ベルギーを撃破してきた。

 そんなチームを堂々と牽引しているのが、25歳のMFポール・ポグバだ。すでに決勝トーナメント進出が決まっていたために温存されたグループ3戦目以外は、5試合全てで先発出場を飾り、攻守に渡って存在感を放っている。

 ポグバが攻撃のタクトを巧みに振るう様は、"将軍"や"マエストロ"の異名をとったミッシェル・プラティニやジネディーヌ・ジダンといった往年の名手たちのそれであり、その系譜を継ぐに相応しいとも言える。

 だが当の本人は、「俺はまだ何も勝ち取っていない」とレジェンドたちとの安易な比較を嫌っている。現地7月12日の会見で語った。
 

「俺らはまだ"星"を勝ち取っていない。ユニホームの胸に一つだけ刻まれているけど、これは昔のもので、俺らが掴んだものじゃない。だから今度こそ、"星"を取りに行く時なんだ」

 ユベントスやマンチェスター・ユナイテッドといったクラブシーンではタイトルに恵まれているポグバだが、代表における国際舞台では、幾度となく苦杯をなめてきた。俊英として期待された4年前のブラジル大会ではベスト8に止まり、主力として加わった2年前のEURO2016は決勝で涙を呑んだ。

 そのたびにポグバは、メディアの批判の的にされ、プレーに関係のない派手な髪型や私生活に至るまで、いわれのない非難を浴びることもあった。ゆえに今度こそ目に見える結果で、周囲を黙らせようと意気込んでいるのだ。背番号6は力強く語る。

「今までの俺は、何も言うことができなかった。それは、これといったトロフィー(優勝)がなかったからだ。何度も非難されてきたけど、俺にはサッカーしかないから、サッカーで証明するしかなかった。だから、今度こそやり遂げてみせる。

 W杯の決勝まで辿り着いたこと自体が、俺を含めてみんなにとって夢みたいなことだけど、それで止まってはいけない。夢は見たままで終わらせてはいけないんだ」

 はたして、ポグバは、国際舞台で栄冠を勝ち取ってきた偉大な先達たちのように、頂点に立つことはできるのか? クロアチアとの運命の決勝戦は、15日に開戦の火蓋が切って落とされる。
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