「最も静かなラッシュアワー」 準決勝敗退のイングランド、国内ではクロアチア戦翌日に500万人が“病欠”【ロシアW杯】

2018年07月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

予想外の躍進を遂げるも、ショックは拭えず…。

クロアチア戦では、イングランド各地でパブリックビューイングが開催され、熱狂的なファンが集ったが、快哉を叫ぶことはできなかった。 (C) Getty Images

 長くイングランド国民が見てきたワールドカップ制覇という夢は、儚くも散った。

 7月11日、ロシア・ワールドカップ準決勝でクロアチアと対戦したイングランドは、立ち上がりの5分にキーラン・トリッピアーが直接FKで先制するも、68分にイバン・ペリシッチの同点弾を許し、延長戦後半の109分にマリオ・マンジュキッチに決勝点を献上。前回ベスト4まで進んだ1990年のイタリア大会と同様に、準決勝で涙を呑んだ。

 試合後、「選手たちとスタッフに、あれ以上の力を出せとは言えなかった。我々はすべてを出し切った」と目頭を押さえながら語った指揮官のガレス・サウスゲイトをはじめとする「スリーライオンズ」の面々には賛辞の声が相次ぎ、代表OBのガリー・リネカーは、「大きな前進。将来的に良くなっていくだけだ」と自身のツイッターで労いの言葉を贈った。

 登録メンバー23名全員の平均年齢が26.00歳、出場32か国中3番目の若さという「若獅子軍団」は、大会前の決して高くなかった下馬評を覆してみせた。とはいえ、ファンはショックを拭えなかったようだ。
 英紙『METRO』によれば、クロアチア戦が行なわれた11日にイングランドでは、なんと約2000万杯のビールが売れたという。それだけにファンがやけ酒に走ったことを想像するのは難くない。翌12日のイングランド国内では、約500万人が病欠を理由に会社や学校を休み、「最も静かなラッシュアワー」を迎えたという。

 英国助言斡旋仲裁局のアドバイザーであるトム・ニール氏は、同紙の取材に対して、「従業員に業務を徹底させるよう、各会社に通達した」と困惑気味に語っている。

「ワールドカップがフットボール・ファンにとってエキサイティングなイベントであることは理解できますが、従業員は職場に対するありえない振る舞いを避けなければいけません。二日酔いで仕事を休んだり、泥酔状態で会社に来たら、クビもありえるということを頭の片隅に入れておいた方がいいでしょう」

 今大会中のイングランド・ファンの熱狂ぶりは凄まじく、彼らは「Football's coming home(フットボールが母国に帰ってくる)」を合言葉に、一致団結して代表戦士たちを見守っていた。それだけに悔しさから思わず、はめを外してしまったのだろう。

 そんなファンの心を少しでも癒すため、14日に行なわれるベルギーとの3位決定戦では、しっかりと結果を残して今大会を締めたいものだ。
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