満身創痍で挑んだリベンジの舞台で、岡崎慎司が魅せた格別の"泥臭さ"【西野ジャパン23戦士のストーリー#7】

2018年07月13日 飯尾篤史

「俺も本気でゴールを狙っていたんですけどね」

セネガル戦の75分から途中出場したその3分後、ゴール前で潰れて本田の同点弾を引き出した。(C)Getty Images

 4年前のリベンジを誓った今大会は、岡崎にとって怪我との戦いだった。
 
 シーズン中に痛めた左足首の負傷を抱えたまま日本代表に合流すると、別メニュー調整を続けながら、5月30日のガーナ戦で実戦復帰。しかし、直前合宿地のオーストリア・ゼーフェルトに移ると、今度は右膝を痛めてテーピングでぐるぐる巻きにし、ロシアのベースキャンプ地、カザンに入ってからは両ふくらはぎ痛に悩まされた。
 
 全体練習に合流できない日が続き、「オカの状態が一番気になる」と西野監督も不安を口にしたが、それでも信頼は揺らがなかった。登録メンバーを変更することなく岡崎に懸けたばかりか、大事なコロンビアとの初戦で、試合終盤に逃げ切りのカードとしてピッチに送り出すのだ。
 
 岡崎の真骨頂が現われたのは、セネガル戦。1点を追いかける75分に投入されるとその3分後、まず大迫のクロスに飛び込んで相手GKもろとも潰れ、さらに乾の折り返しにも這うようにして潰れて、本田の同点ゴールを引き出すのだ。
 
「俺も本気でゴールを狙っていたんですけどね」
 
 岡崎はそういって苦笑したが、彼らしい的確なポジショニングと泥臭さなくして、あのゴールは生まれなかっただろう。
 
「自分がどうして代表に選ばれているか当然分かってうえで、ただ試合に出るだけじゃなく、このチームで勝ちたいという想いも共有している」
 
 セネガル戦後、そう語った岡崎は、プロとしての矜持を覗かせた。
 
「もう終わったんじゃないかと言われたりもするけど、それを見返してやろうという気持ちがないと、ここまでやってこられなかった」
 
 続く第3戦のポーランド戦ではスタメンに名を連ね、攻撃に守備にと、前線を駆け回った。今度は右足首を痛め、後半早々にベンチに退くことになったが、怪我を抱えながらも、今の自分に出来ることを100%出し切った岡崎の奮闘なくして、グループリーグ突破は成し得なかった。

取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)
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