「あれ以上はやれない。すべて出し切った」敗軍の将、サウスゲイトは最後まで清々しく【ロシアW杯】

2018年07月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「誇るべき最高のチームだったと称えたい」

若き精鋭たちを一枚岩の集団へと進化させたサウスゲイト監督。イングランド国民の厚い支持を得ている。(C)REUTERS/AFLO

 若きイングランド代表の快進撃は、52年ぶりのファイナルを目前にして途絶えた。
 
 開始5分にキーラン・トリッピアーの直接FKで先制するも、リードを守り切れず、68分にイバン・ペリシッチに同点ゴールを奪われてしまう。その後も試合巧者クロアチアに主導権を握られる時間帯が多く、延長戦後半109分にマリオ・マンジュキッチに逆転弾を決められ、敵の軍門に下った。
 
 試合後、ガレス・サウスゲイト監督は母国テレビ局のインタビューに応え、ヤングライオンズに熱いメッセージを贈った。
 
「後半の開始から失点するまでの間、上手くボールをコントロールできなかった。簡単にボールを獲られていたし、チームとして落ち着きがなかったね。ただ、選手たちはこんな巨大なゲームを経験したことがない。あの早い時間帯にリードして、どう対応すべきかで苦心しているところがあった。ルカ・モドリッチやイバン・ラキティッチのようには行かなかったんだ。それでも、彼らはゲームのなかで修正し、持ち堪えながら、よく闘った。コロンビア戦(ラウンド・オブ16)しかり、スウェーデン戦(準々決勝)しかり、ゲームを通じて進化を遂げてきたチームだ。わたしは心の底から称えたい。誇るべき最高のチームだったと。そして、温かい声援を送り続けてくれたサポーターもまた、最高のだったと」

 
 大会前の下馬評は決して高くなかった。指揮官は選手たちにこう語りかけていたという。
 
「僕たちはトーナメントでもっとも経験値の低いチームだ。だから成長するためには、1試合でも多くゲームを闘わなければならない。そこから、途轍もなく大きいなにかを得られるだろう」
 
 最後は「選手たちとスタッフに、あれ以上の力を出せとは言えなかった。我々はすべてを出し切った」と語り、47歳の指揮官は少しだけ目頭を押さえた。
 
 この日のスタメン平均年齢が25.72歳。23名全員のそれも26.00歳で、出場32か国中3番目の若さだった。ハリー・ケインやデル・アリ、ラヒーム・スターリングなどこれからキャリアのピークを迎える主軸が多数おり、"サウスゲイトと若き獅子たち"は2年後のEURO、さらには4年後のカタール・ワールドカップで本命視されていくだろう。
 
 清々しい風を残して、堂々と散ったスリーライオンズ。7月14日の3位決定戦では、ベルギーと白熱の攻防戦を見せてくれることだろう。
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