F・トーレスの加入で鳥栖はどうなる?V・イバルボ、豊田との共存は?

2018年07月11日 荒木英喜

コロンビアとスペインの元代表が新たなホットラインに

F・トーレスの加入で前線の厚みが増した鳥栖は、様々な攻撃パターンが考えられそうだ。(C)Getty Images

 まさに急転直下。5月に始まった鳥栖がフェルナンド・トーレスを獲得するという情報は、6月末から今月初旬になって交渉が難航との報道に変わり、期待していたサポーターは落胆の色を隠せなかった。
 
 そんななか、7月10日夕方、F・トーレス自ら鳥栖への移籍を発表したのだ。粘り強く交渉を続け、獲得に成功したサガン鳥栖の竹原稔社長をはじめとするスタッフに感謝したい。

 リーグ戦15試合を終えて鳥栖は18チーム中17位と低迷している。その要因のひとつが得点力不足。チーム得点はリーグワースト3位タイの14得点。1試合平均で1点に満たない。
 
 ただ、これに関してはシーズン前から懸念されていた。昨季までクラブの顔であり、エースとして君臨していた豊田陽平が韓国の蔚山現代に期限付き移籍したからである。
 
 それだけに、得点力のあるFWの獲得は鳥栖に課せられた大きな課題だった。そういう意味で今回のF・トーレス獲得は課題克服への大きな一歩となる。

 鳥栖にF・トーレスが加入してチームはどうなるのかをイメージしてみたい。
 
 直近のリーグ戦となる15節・FC東京戦で鳥栖は、中盤をダイヤモンド型にした4-4-2のシステムでスタートした。前線にはビクトル・イバルボと小野裕二が構え、トップ下に原川力を配置。これをベースに考えると、F・トーレスとV・イバルボの2トップになることが予想される。
 
 類い稀なキープ力と周りの選手を生かすことのできるV・イバルボが前線で一旦タメを作り、そこから相手の背後に出たスルーパスに、F・トーレスが持ち前の鋭い抜け出しでシュートまで持ち込むという得点パターンが容易にイメージできる。コロンビアとスペインの元代表が織りなすワールドクラスのプレーが鳥栖の新たなホットラインになる。これにワクワクしないワケがない。
 
 これだけではない。6月に鳥栖への復帰が発表された豊田陽平と2トップを組めば、豊田がヘディングで落としたボールにF・トーレスが走り込むというパターンも生まれそうだ。もちろん、これ以外にも多くの得点パターンが生まれるに違いない。それを想像するだけでもリーグ戦再開が楽しみになる。

 ひとつだけ苦言を呈すとすれば、"エル・ニーニョ(神の子)"の愛称を持つF・トーレスも人の子であり、サッカーはチームスポーツなので彼一人で何かをできるわけではない。チームメートはF・トーレスを生かし、彼もまたチームメートを生かすプレーができてこそ、チームとして完成する。そうすれば、降格圏に低迷する鳥栖は大きく順位を上げられるだろう。でも今は、F・トーレスを中心にしてどんなスーパーゴールが生まれるかを妄想していたい。

取材・文●荒木英喜(フリーライター)
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