【"ロシア後"の日本代表11人は?#1】最優先のテーマは柴崎岳、大島僚太の共存だ

2018年07月06日 加部 究

SBは大胆な実験を優先させたい

柴崎と大島をフォローするアンカーが必要。井手口のコンディションは良くないが、他に選択肢が見当たらない。

 ワールドカップが終われば、また次の4年後に向け動き始める。長年日本代表を追う4人に訊いたのは、"ロシア後"の選択だ。どのような11人を選び、どう戦うか。興味深い回答が得られた。
 
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 西野朗監督の就任で北京五輪世代を軸とした体制が必要以上に長期化し、主力組が高齢化するとともに、下の世代の経験値が不足している。こうした現状を踏まえてもドラスティックな変革が不可欠。次のワールドカップで30歳になるプラチナ世代を上限として、若いメンバーでのスタートを意識した。
 
 最優先のテーマは柴崎岳、大島僚太の共存なので、そのためにはアンカーが要る。試合から遠ざかっている井手口陽介のコンディションは良くないが、他に選択肢が見当たらない。一方で既に昌子源、植田直通の鹿島コンビでメドが立つCBは人材が豊富。吉田麻也も健在なので、将来的には中山雄太、板倉滉などの抜擢も考えていくべきかもしれない。
 
 両翼には、現在最も勢いがある堂安律と中島翔哉。本来ならふたりとも当然ロシアに招集しておくべきタレントで、個でも仕掛けていく果敢さとアイデアがある。さらに伊藤達哉、久保裕也、国内では三好康児、身体作りが上手くいけば久保建英も、攻撃面だけを見れば食い込んでいく能力がある。

 逆にトップは武藤嘉紀の能力が抜けている。スピードとフィジカルに恵まれ、負けん気が強く、大柄なDFからもボールを奪い切れるので、無から単独決着の可能性もある。何よりストライカーは、実戦でゴールを奪えている自信が必要だ。
 
 SBは右に室屋成、左に山中亮輔。どちらも攻撃色が強く、彼らを活かすことを考えれば、久保裕也や宇佐美貴史のように、上手くオーバーラップを引き出すMFを起用する方が有効かもしれない。

 もちろん、右の酒井宏樹、左の車屋紳太郎、どちらもできる長友佑都の力も必要だが、まずは大胆な実験を優先。山中の守備力には懸念があるが、圧倒的な左足の精度、破壊力、それにスピードは魅力。若手の爆発力を見極めた上で、年明けのアジアカップに向けては部分修正していけばよいと思う。
 
文●加部 究(スポーツライター)

※『サッカーダイジェスト』6月28日号より転載。
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