合言葉は「リメンバー・ベルギー」。W杯ベスト8はもう描けない夢ではない

2018年07月05日 佐藤俊

この経験をした選手がチームの軸にいると必然的に厳しさが宿る

ベルギー戦の経験は、選手の胸に深く突き刺さり、決して抜けることはないだろう。(C)Getty Images

 ベルギー戦の敗戦は、今もハッキリと目に浮かぶ。
 
 選手は生々しく今も明確に覚えているはずだし、これは絶対に忘れてはいけない。
 
 このベルギー戦の敗戦を経験した選手たちが、これからの日本代表の中軸となり、リードしていく存在にならなければならないからだ。
 
 ベルギー戦のような経験は、一生に一度経験できるかどうかの強烈なもの。選手の胸に深く突き刺さり、決して抜けることはない棘みたいなものだ。
 
 この経験をした選手たちは、二度とこのような経験をしたくないと思っているはずだ。
 
 そのためには自分は何をすべきか。選手たちは、自発的に自分に足りない何かを求め、克服するためにスタートするだろう。
 
 誰に言われたからではなく、痛い経験から学び、それを糧にしてさらに成長していこうと自分から動くのだ。例えば原口は後半に先制点を挙げたが、足がつり、満足なプレーができなくなった。そこで90分間戦える体力があればと当然思っているはずであるし、そのためによりスピードを増し、より90分間サイドを上下動できる体力を養いたいと思っているはずだ。そういう辛い経験が一番、選手の質を高めていくことになる。
 
 選手個々の質が上がれば当然、チーム力も上がる。
 
 ワールドカップは総合力勝負と言われ、実際ベルギー戦はバックアップの層の薄さを始め、選手一人ひとりの力がもうひとつ足りなかったことも敗因になった。その差を個々が埋めていく努力をすることが、あのようなゲームを二度としないためにも必要になる。
 
 また、この経験をした選手がチームの軸にいると必然的に厳しさが宿る。
 
 この程度の戦いをしていては、また痛い目にあう。こんな戦い方をしていてはベルギーを越えることはできないし、勝つことはできない。選手一人ひとりがそういう思いを持ち、それが隅々まで行き渡るチームは決して妥協を許さないだろう。
 
 あの敗戦を直接経験していない選手も代表に入ることで彼らの影響を受け、ピリッとした空気を感じ、経験した選手と意識が同化していく。その空気に慣れず、適当なプレーをする選手は排除され、90分間、本当に戦える選手だけが生き残る。
 

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