【ネクスト日本代表候補】堂安律が語る、同世代の傑物「エムバペ」と強い焦燥感

2018年07月06日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「彼はまたひとつ上手くなる。しかし僕は日本に残ったまま…」

フローニンヘンでのポジション争いを経て、逞しさを増した。「国外に出たのは正解だったと信じている」。写真:川本学

 昨夏にガンバ大阪からオランダのフローニンヘンに移籍すると、海外挑戦1年目からリーグ戦29試合に出場して9得点・4アシスト。異国の地でその存在を知らしめた。次世代の日本代表入りが期待される20歳の堂安律は、同じ1998年生まれの傑物エムバペ(フランス代表)をどう見ているのか。そこに感じたのは強い焦燥感だった(インタビューは6月19日に実施)

――オランダでプレーして、日本サッカーの印象は変わりましたか?

「日本人の技術の高さを改めて気づかされました。ポゼッションでは間違いなく世界のトップレベルに入れるんじゃないかな。あと日本のクラブのほうが整った設備があります。恵まれていますね。良い意味でも悪い意味でも」

――それが逆に日本人のハングリー精神を失わせている、と?

「そのとおり。もちろん環境が整っているのは素晴らしいことです。ただ高度なテクニックがあっても、それを海外で発揮できるかはまた別。どう見せるか、どう戦術に合わせるか、そういった自己表現力に関しては、日本人選手と外国人選手とでは、言い表わせないほどの差があります」

――フローニンヘンでの競争を通して、それを痛感したのですか?

「そうです。みんなギラギラしていますからね。日本の選手がただ試合に勝つために練習をするのとは違い、彼らはステップアップをするために練習をする。ひたすら上手くなりたいという向上心だったり、家族を養っていかなければいけない責任感だったり、そういった意志の強さが感じられます。そんな空気の中でやっているとやっぱりこみ上げてくるんですよ。僕も絶対に負けていられないなって気持ちが」

――上昇志向が強い堂安選手は海外向きですね。

「それはよく言われますね。"1番になりたい"という気持ちがそう思わせるのかも。本音を言えば、僕は日本が大好きだし、できれば日本でサッカーをしたいんですよ。とはいえ海外には同世代で凄い選手がいっぱいいますから、国外に出たのは正解だったと信じています」

――ロシア・ワールドカップでは、同じオランダリーグでプレーしていた23歳のイルビング・ロサーノ選手(メキシコ代表)がドイツ相手に得点しました。刺激を受けたのでは?

「素直に感心しました。僕と年齢も近いのにPSVで大活躍してビッグクラブに引き抜かれそうだし。そういうのを見ると、奮い立たされます」

――また堂安選手と同じ1998年生まれのキリアン・エムバペ選手は、フランス代表で10番を背負っています。

「凄いですよね。彼はワールドカップでまたひとつ上手くなるでしょう。しかし僕は日本に残ったまま……。早く追いつかないと。サッカーの選手生命は短いですから」

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