「日本は試合巧者ではなかった」ベルギーから金星を逃した理由

2018年07月03日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

勝ち切るだけの実力としたたかさが欠けていた。

日本はベルギーを追い詰めたが勝ち切れなかった。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

【ロシアW杯・決勝トーナメント1回戦】日本2-3ベルギー/7月2日/ロストフ・ナ・ドヌ
 
 日本はベルギーを土壇場まで追い詰めた。決勝ゴールが試合終了間際の94分だったことを考えても、それは間違いないだろう。
 
 ただ、試合全体の流れを見ると、やはり劣勢の時間帯が大半だった。とくに20分過ぎあたりからハーフタイムまではほぼ防戦一方で、前半はポゼッション率(55対45)、シュート数(10対4)、CK数(5対0)、パス本数(318対252)とすべてで劣った。それでも日本は前線からのプレス、1対1を避ける複数での囲い込み、そして身体を張ったブロックで何とか耐え凌いだが、前半は完全にベルギー・ペースだった。
 
 しかし、日本は後半早々の48分にカウンターから原口元気が先制点を挙げると、52分には乾貴士が追加点。ベルギーは攻め急ぎやパスミスが増えるなどさすがに焦りが見えた。この後半開始直後から65分あたりまでは、中盤でポゼッションを確立するなど完全に日本が流れを掴んでいた。
 
 ただ、65分にマルアン・フェライニとナセル・シャドリを投入して圧力を強めてきたベルギーは、川島永嗣の中途半端なパンチングのこぼれ球から69分にヤン・ヴェルトンゲンが1点を返すと、一気に息を吹き返して試合の流れを再び手繰り寄せる。そして、74分にフェライニのヘディングで同点に追いつくと、延長もチラついていた94分にはカウンターからシャドリが決勝ゴールを決めた。
 
 大雑把に試合の流れを見ると、ベルギー・ペースが65分、日本ペースが15分といったところだろう。今大会で言えばメキシコと韓国がドイツ戦、ロシアがスペイン戦で似たような劣勢の中で大金星を挙げているが、酒井宏樹が「僕らには耐えられる実力がなかった」と振り返ったとおり、日本は我慢しきれなかったし、リードを守るためのゲームコントロールもできなかった。キャプテンの長谷部誠もこう悔しがっている。
 
「小さなミスの積み重ねで失点したし、あそこで最後にやられるのはやはり試合巧者ではない」
 
 優勝候補の一角であるベルギーを追い詰め、ビッグサプライズの一歩手前までいったのはたしか。しかし日本には、掴みかけた流れをしっかりと掴み、勝ち切るだけの実力としたたかさが欠けていたのもまた事実だろう。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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