J1後半戦へのビジョン|名古屋編|L・ドミンゲスを新たに迎え原点回帰の3-4-2-1で反攻へ

2014年06月27日 週刊サッカーダイジェスト編集部

3バック回帰で初めて臨んだ練習試合は6-0の大勝。

リーグ戦序盤は、15位に低迷した名古屋。飛騨古川キャンプでは手応えを掴んだようだ。(C) SOCCER DIGEST

 反攻――。後半戦に向けた名古屋のテーマはこれしかない。レアンドロ・ドミンゲスを獲得し、6月16日からは毎年恒例の飛騨古川で9日間にわたるキャンプを張った。
 
 序盤戦を終えて15位。リーグ中断に際し、「失点数がかなり増えていることは想定内だったのか?」と問われた西野監督は、こう振り返っていた。
 
「シーズン前は、全体の重心がディフェンスに置いてあるなという気がしていた。3バックの攻撃的なシステムというよりは、3が変形して5バック的に戦ってしまうのではないか。なかなか得点を奪えないんじゃないかという懸念はしていた」
 
 開幕前からトライしてきた3バックだったが、当時はそんな攻撃面での不安を抱えていたことから4-4-2に切り替え、結果的にリーグ6位となる18得点を挙げた。しかし、怪我人の続出があったとはいえ、どちらかと言えば「想定外」だったのは、ワースト2位の24失点を招いた守備面であった。
 
 迎えた飛騨古川キャンプでは、ひとつの方向性が定められた。棚上げにした3-4-2-1への再挑戦である。攻撃的でアグレッシブな姿勢は変えず、指揮官は「現実の選手の状態やチームの状態を見て、やられていた失点を全員で抑えなきゃいけない」と語る。
 
 キャンプ中には公式戦での失点シーンすべてをビデオで振り返り、その多くをクロスから喫していることを再確認。両ウイングバックが最終ラインに押し込まれる形は決して本意ではないが、時に5バック気味にもなるシステムは、そんなクロスから簡単に失点を許してしまう問題を解消するための策でもある。試合によっては、粘り強く引いて守らざるを得ない展開も、ある程度は想定してのことだ。
 狙いはもうひとつある。中断前最後の試合となったナビスコカップ7節・浦和戦後、指揮官が「一人ひとりのプレースタイルは再確認できている」と語っていたとおり、選手たちの特徴をより押し出し、その個をグループに落とし込むためである。
 
 例えば、攻撃力にも長けている田中マルクス闘莉王のリベロ的起用、守備力を長所とする本来はSBの本多勇喜のCB起用、スピードを生かしてひとりで何人も追える永井謙佑の1トップ起用……。西野監督は、「自分のストロングポイントを出しやすいポジションでプレーしている選手が多くいるなと感じた」と語り、キャンプでの手応えを掴みとっている。
 
 注目のL・ドミンゲスも、2シャドーの一角に入り、その攻撃力を遺憾なく発揮した。3バックで初めて臨んだ岐阜との練習試合では6-0の大勝。相手がサブ組だったとはいえ、1ゴール・1アシストの結果を残し、永井や小川佳純の機動力を引き出すなど、チャンスの多くがL・ドミンゲスの両足から生まれていた。相手のギャップで前を向き、攻撃のスイッチを入れられる技術の高さは、不足していた中盤の構成力やフィニッシュの局面にクオリティーをもたらした。
 
 細部を詰める作業が残っているとはいえ、ひとつのベースはできた。攻守両面でメリットの大きい3-4-2-1で、名古屋は反攻を期すことになる。
 
構成●週刊サッカーダイジェスト編集部
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