あわや悲劇の主人公! 英雄モドリッチが明かした意外な新事実「ずっと朝からPKを…」

2018年07月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

鬼スルーパスで絶好のチャンスを得たが…

デンマーク戦後、ピッチに降りてきた子どもたちと喜びを分かち合うモドリッチ。安堵の表情を浮かべた。(C)Getty Images

 舞台は整っていた。だが、千両役者は決め切ることができなかった。
 
 7月1日に開催されたロシア・ワールドカップ、決勝トーナメント1回戦のデンマークvsクロアチア戦だ。キックオフからの4分間で1点ずつを取り合った両雄だったが、その後は中盤での激しい潰し合いが続き、なかなかビッグチャンスを掴めない。試合は1-1のまま延長戦に突入し、PK戦突入が濃厚となっていた。
 
 延長戦後半の116分、クロアチア代表の大黒柱が眩いばかりの閃光を放つ。ハーフウェイライン付近でボールを受けたルカ・モドリッチは、裏のスペースへ猛進するアンテ・レビッチに極上のロングスルーパスを通す。これが相手DFのファウルを誘ってPKを獲得。逆転弾を決める願ってもないシチュエーションだった。しかし……。モドリッチが放った渾身のショットは、GKキャスパー・シュマイケルに阻まれてしまった。
 
 迎えたPK戦。モドリッチは3人目のキッカーで登場。なんと今度はど真ん中に蹴り込む度胸の良さで、きっちり成功した。自力で3本をセーブしたGKダニエル・スバシッチの狂い咲きで、クロアチアはなんとかベスト8に到達した。

 
 ほかの誰よりも歓喜を爆発させ、ズラトコ・ダリッチ監督と熱い抱擁を交わした"魔法使い"。フラッシュインタビューでは意外な事実を明かした。
 
「マジで熱い試合だった。体力的にもとてもタフだったね。PKを外したのは本当にショックだった。今日は朝からずっとそのことばかり考えていたからね。シュマイケルからどうすればPKを決められるかを」
 
 この日のモドリッチと酷似するのが、1986年メキシコ大会のジーコだ。準々決勝のブラジルvsフランス戦、ワールドカップ史に残る名勝負である。1-1で迎えた後半、途中出場のジーコはミラクルなロングスルーパスを味方選手に通し、PKをゲットする。だが名手ジーコのショットは敵GKジョエル・バツに止められてしまい、勝ち越せなかった。試合は延長戦でも決着が付かずPK戦へ。ジーコはまったく同じ方向へ蹴って決めたが、結果的にフランスの後塵を拝した。
 
 あわや勝利の立役者から悲劇の主人公へと転落しかけたが、寸手でジーコの二の舞を回避したモドリッチ。「次は開催国(ロシア)が相手だ。でも今日の試合のように僕たちはタフに戦い抜くよ。かならず勝ってみせる」と力を込めた。
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