W杯【検証】スペイン代表 無残に散った常勝軍団の未来はどうなる?

2014年06月27日 アリツ・ガビロンド

心身両面の問題が招いたパフォーマンスの劣化が敗因。

主力の多くが疲労を溜め込み、シャビ・アロンソによればモチベーションにも問題があったという。いわば負けるべくして負けたのが、今大会のスペインだった。 (C) Getty Images

 まさかの早期敗退だ。特定の主力に依存しないスペインは、2002年日韓大会のフランスや前回大会のイタリアのような失態を犯すはずはないと、そう確信していたのだが、そうではなかった。
 
 敗因として真っ先に挙げるべきは、フィジカルコンディションの悪さだ。リーガ・エスパニョーラ、あるいはチャンピオンズ・リーグで最後までタイトルを争ったチームの選手たちは予想以上に疲弊しており、1か月弱のインターバルではとうてい回復できなかった。
 
 しかも今回は、シャビ・アロンソが明かしたようにモチベーションも十分ではなかった。4年前と同様、初戦を落とした黒星スタートから、4年前のように巻き返せなかったのは、そうした心身両面の問題が招いたパフォーマンスの劣化に原因があった。とにかく、プレーにアグレッシブさがなかった。
 
 スタイルの限界を指摘する向きがある。スペイン対策の研究はたしかに各国で進んでいた。とはいえ、少なくともオランダ戦の前半はスペインらしいサッカーを見せていた。2連敗で早期敗退に追い込まれるような内容では、決してなかった。2試合で早々と敗退が決まったのは、スペイン代表の歴史上、過去に例がない失態だ。
 
 当然ながら、ビセンテ・デル・ボスケ監督への批判が高まっている。非難が集中しているのは、世代交代を怠ったとする23人枠、およびスタメンの人選だ。
 
 ただ、考えていただきたい。シャビ、イケル・カシージャスといった偉大な功労者を外して大会に臨み、同じように不甲斐ない結果に終わっていたら――。デル・ボスケに対する風当たりの強さは、現状の比ではないはずだ。
 
 詰まるところ、すべてのサイクルには必ず終焉が訪れるということだ。常勝スペインもその例外ではなく、さらなる進化のために不可欠な敗北だったのだ。負け方があまりにショッキングで、そのために過剰なリアクションを招く結果となったが、サイクルの転換点を迎えたのだと、そう冷静に捉えるべきだろう。

次ページ有望なタレントが目白押し。高い競争力は維持できる。

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