「あの日本戦は忘れられない」8年前のリベンジを期す“天才肌”が待望のW杯初弾!【ロシアW杯】

2018年06月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

指揮官は「モドリッチより上」と評する

8年ぶりのW杯で嬉しい初ゴールを決めたエリクセン(10番)。コンディションの良さを窺わせる。(C)Getty Images

 6月21日に行なわれたロシア・ワールドカップのグループC、デンマークvsオーストラリア戦は1-1のドローに終わった。その開始7分に鮮烈な先制点を決めたのがデンマークの誇る至宝、クリスティアン・エリクセンだ。
 
 初戦のペルー戦でも出色の出来を披露していた26歳は、ニコライ・ヨルゲンセンの落としに鋭い呼応。左足のハーフボレーで豪快に蹴り込み、嬉しいワールドカップ初得点をマークした。試合はその後オーストラリアに追いつかれ、ともに決め手を欠いて痛み分け。デンマークは勝点を4に伸ばし、16年ぶりのラウンド・オブ16進出に一歩前進した。
 
 日本での知名度こそやや低めながら、エリクセンは正真正銘のワールドクラスだ。大会前に英紙『Daily Mail』は「注目すべき攻撃的MFの3人」のひとりに挙げ、ルカ・モドリッチ(クロアチア)、トニ・クロース(ドイツ)と並び称したほど。デンマーク代表を率いるオーゲ・ハレイデ監督は「現代フットボールにおいて、クリスティアンより優れたミッドフィルダーを私は知らない。レアル・マドリーやバルセロナにいる選手でも彼に優る者はいないだろう。モドリッチよりも上だと思う」と評する。

 
 そのキャリアはまさにエリートのそれだ。オランダの名門アヤックスの下部組織で英才教育を受け、17歳でプロデビュー。A代表にも18歳だった2010年3月に初招集され、3か月後の南アフリカ・ワールドカップに出場している。21歳でイングランドのトッテナム・ホットスパーに鳴り物入りで入団。若き精鋭軍団の象徴となり、マウリシオ・ポチェティーノ政権下でチームが急加速的に成長曲線を描くなか、エリクセン自身もスターダムを駆け上がった。
 
 兎にも角にも、なにをやらせても一級品だ。十代の頃は天才パサーのイメージが強かったが、プレミアリーグで揉まれてフィジカルコンタクト、守備での献身性、広範囲をカバーする運動量を身に付け、著しいスケールアップを果たした。直接FKとミドルシュートのスペシャリストであり、オーストラリア戦のように裏に抜け出してゴールを陥落するのも得意だ。ハイレデ監督がベタ褒めしたように、エリクセンほどの高質な総合力を備えたMFは、世界を見渡してもなかなかいない。

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