【日本代表】奇跡を起こして2勝1敗でも…浮かび上がる「アトランタ五輪との類似点」

2018年06月21日 石川聡

対戦順は同じ「南米、アフリカ、東欧」

百戦錬磨の西野監督。コロンビア戦快勝のあとも冷静に振る舞い、すぐさま次戦を見据えていた。(C)Getty Images

 日本がコロンビアを2-1で破り、ワールドカップで幸先の良いスタートを切った。同じく西野朗監督に率いられ、1996年のアトランタオリンピック初戦でブラジルを1-0と倒した「マイアミの奇跡」になぞらえ、「サランスクの奇跡」という声も上がっているようだ。
 
 昨年12月のE-1選手権で韓国に1-4の完敗を喫したのち、今年3月の欧州遠征はマリに1-1、ウクライナに1-2で、4月にはヴァイッド・ハリルホジッチ監督解任の衝撃。西野監督の下での初戦がいきなり5月末の壮行試合(ガーナ戦)で、これも0-2の黒星。欧州に渡ってからの強化試合もスイスに0-2の敗戦で5戦連続勝ち星なし。大会開幕直前のパラグアイ戦をようやく4-2でモノにしたものの、光明を見出すまでには至らなかった。
 
 そんな状況だから、直近4戦を未勝利で臨みながらもグループリーグ突破を果たした2010年南アフリカ大会の前例にすがるなど、メディアもファンもなんとか好材料を見つけようとしていた。コロンビアが試合開始早々に退場者を出し、PKで先制するという有利な状況があったとはいえ、ともかく勝点3を獲得できたことに、日本中が安堵の溜息を漏らしたことだろう。

 
 しかし、だ。それこそ歴史に照らすなら、まだまだ安閑としていられない。そこであえて、22年前のアトランタ・オリンピックを振り返ると──。
 
 いわゆる「マイアミの奇跡」で破ったブラジルは、ロナウド、リバウド、ベベットら錚々たる顔ぶれを揃えた当時のスーパーチーム。GK川口能活らの奮闘で猛攻を耐え凌ぎ、伊東輝悦の決勝点で勝ち切った。ところが、第2戦はナイジェリアに0-2で敗れ、最終戦でハンガリーに3-2で競り勝ったものの、ナイジェリア、ブラジル、日本が同勝点で並び、得失点差で3位となった日本の敗退が決まったのである。
 
 ここで注目したいのは、対戦国が南米、西アフリカ、東欧という並び。そう、コロンビア、セネガル、ポーランドと対戦する今回のロシア大会と同じなのである。前例に頼ろうとするなら、前例の結末にもおののかなければならない。他試合の動向にもよるが、普通なら突破がほぼ間違いなしの2勝1敗でも敗退の危険が潜んでいるのだ。

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