コロンビア人記者が見た日本代表|クロスを放り込むだけの単調な攻撃では…

2014年06月23日 アンドレス・バロン

コロンビア最大の弱点であるSBの裏を、いかに連動して崩せるかが鍵。

最終戦でコロンビアはメンバーを落とす可能性があるが、単調な攻撃を繰り返すようでは日本は勝機を見出せないだろう。 (C) SOCCER DIGEST

 正直、この2試合の日本代表のパフォーマンスは、大会前の評価からすれば期待外れなものだった。とりわけギリシャ戦で露呈したように、攻撃の最終局面でのスピード不足は深刻に見える。現状のままなら、堅守を誇るコロンビア守備陣が容易に崩されるとは思えない。
 
 もちろん初戦のコートジボワール戦で逆転負けを喫した精神的なショックが尾を引いていた部分もあるだろう。しかし、ギリシャ戦では、50分以上も数的優位な状況で戦いながら、それを生かせずシンプルにクロスを放り込む単調な攻撃ばかりが目立っていた。
 
 後半には、攻撃の要となる遠藤、香川を立て続けに投入して状況の挽回を図っている。この交代により、日本の攻撃は厚みが増し、敵陣に攻め込むシーンも増えた。ただしこれは、ひとり少ない状況で戦っていたギリシャが守りに徹していた面もあり、事実、日本の攻撃は相変わらず積極性を欠き、ゴールは遠く感じられた。スコアレスドローという結果は、日本にとって負けに等しいだろう。
 
 ここまでの2試合を見る限り、日本の攻撃には相手DFの裏を突くプレーが少ない。遠藤、香川、本田がサイドにボールを散らし、両SBの内田と長友がクロスを上げるという工夫のない攻撃に終始していたのでは、スペイン語で言うプロフンディダ(=攻撃の奥行き)は生まれない。長身選手が揃うギリシャDFに簡単に撥ね返されていたのもうなずけるというものだ。
 
 日本がグループリーグを突破するためには、コロンビア戦での勝利が絶対条件となった。日本にとって、つけ入る隙があるとすれば、すでにグループリーグ突破を決めたコロンビアがC・サンチェス、ジェペス、グティエレスといった主力を温存する可能性が高い点だ。いずれもチームに欠かせない存在であり、戦力の低下は十分に考えられる。
 
 コロンビアの両SBの背後は、大きな弱点のひとつだ。とりわけ、左SBのアルメロはフィジカルコンディションが万全でなく、ディフェンス面での最大の穴となっている。ただし、組織的な守備は、内田、長友の単独突破のみで崩されるほど脆くはない。遠藤、本田といったキープレーヤーとの連動した崩しでなければ、ギリシャ戦と同じ結果が待っているだけだろう。
 
 つまり、我々との最終戦において、日本にとっての戦術的テーマは前述した「プロフンディダ」をいかに生み出せるか。それに他ならない。この点をしっかりと修正したパフォーマンスを繰り出してくるのであれば、コロンビアの選手起用やモチベーションなどの状況も鑑みて、勝負は五分五分と見る。1分け1敗の日本にとっては、1点差の勝利では不十分で(※コートジボワールとギリシャが引き分ければ、2点差以上の勝利が必要)、高温多湿の気候もマイナス条件となるが、アジアチャンピオンとしての意地を見せてほしいものだ。
 
文:アンドレス・バロン
翻訳:下村正幸

【写真で振り返る】日本 対 ギリシャ戦
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