【コラム】コロンビアも困惑中!? 謎の深まった西野Jがサプライズへのキーマンとすべきは?

2018年06月13日 加部 究

序盤は日本のやり方を見極める時間が必要になったコロンビア。

パラグアイ戦では“バックアッパー”の選手たちが躍動。コロンビアに迷いを生じさせるには十分な勝利となった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 最大の収穫は、コロンビアのホセ・ペケルマン監督を困惑させたことかもしれない。

 Jリーグ開幕前夜のアマチュア時代の話だ。まだ日本は、韓国の遠い背中を眺めていた。だがある時、ユース代表戦で、日本が勝利を収めた。すると韓国は次の対戦でメンバーを総入れ替えして来た。日本側の現場スタッフは、すっかり怖気づいていたそうだ。
「やっぱり韓国は凄い。もっと力のあるメンバーを隠していたんですよ」

 すかさず団長は、弱気になったスタッフに喝を入れた。
「馬鹿!そんなわけないだろう。韓国だって負けたのが誤算だったんだ」

 ぺケルマン監督は日本サッカーに通じているので、スイス戦から10人のスタメンを入れ替えた日本が好パフォーマンスを見せたとしても、大きな驚きはないはずだ。むしろスイス戦後に西野朗監督が「バックアップ」と位置付けていた選手たちの潜在能力も、しっかりと把握していたに違いない。何しろぺケルマンは、4年前に日本に快勝した後でも「素晴らしい選手がたくさんいる国だ」と讃えていたほどである。

 だが少なくとも謎は深まった。肝心の本大会で、日本がどんなフォーメーションで、誰が出て来るのかが掴めない。当然である。それはこれから西野監督自身の難題になる。
 
 読めないもの、不気味なものに直面すると、人は慎重になる。もちろんコロンビアにとっても大事な初戦なので、もともとキックオフから叩きのめしに来るような入り方はなかったはずだが、これで序盤は日本のやり方を見極める時間が必要になった。たとえテストマッチ最後の相手が、予選で敗退し新チームに移行したばかりのパラグアイだったとしても、その程度のインパクトはあった。4年前に対戦したコロンビアは、すでにリラックスした状態だったが、今回は確実に勝点3を持ち帰ることがノルマになる。

 西野監督の就任理由が「日本らしいサッカー」の実現だったことを考えると、好対照だった直近2試合の結果も踏まえ、バックアップ組を軸にした戦術、メンバー構成に傾くことは想像に難くない。ましてコロンビアが、多少なりとも慎重な入り方をしてくることを想定すれば、テンポ良くボールを動かせるラインナップで、早いタイミングで先制点を狙い、ポゼッションの時間を伸ばして相手の困惑を深めたい。
 

次ページラッキーボーイとして現状で最も可能性を秘めているのは武藤嘉紀だ。

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