【現地レポート】 ポーランドのテストマッチ快勝劇から見えた、日本が警戒すべき点と突くべき守備の“悪癖”

2018年06月13日 中野吉之伴

脅威となるであろう攻撃での連動性

各選手が効果的に連動した動きを見せ、クリホビアクがハイレベルにチャンスメイクをこなし、レバンドフスキ(右端)が高い決定力を誇るポーランド。その攻撃を封じるには、綿密な準備が必要だ。 (C) Getty Images

 ポーランドはロシア・ワールドカップ開幕前の最後のテストマッチで、リトアニアに4-0の快勝を飾った。
 
 この日は、怪我で離脱していた主軸のCBグリクが大会メンバーに入るという発表もされており、ポーランドにとっては良いニュースに溢れた一日となった。
 
 リトアニアはビッグトーナメント前に戦うテストマッチの相手として、ポーランド・サイドから高く評価されている。EURO2016の前にも同じカードが組まれ、その時には0-0で引き分けた。
 
「あれは非常に価値のあるテストマッチだった。我々に何が足りず、何を修正すべきかを示してくれたんだ」
 
「難しい試合になるはず。相手に弱々しくプレーしてくれなんて要求することはない。これはサッカーであり、試合なんだ。そこには戦いがある。作られた雰囲気はいらない。チームの気持ちは高まっている。誰もがチームのために、自分を表現しようとしているんだ」
 
 テストマッチ前日の記者会見で、ナバウカ監督はリトアニアに対し、こう敬意を表していた。
 
 リトアニアは、主力選手のなかにはまだリーグ戦が残っているクラブでプレーしている選手もおり、何人かはこの試合の前に離脱していた。だが、昔ポーランドに支配されていた時代があった関係もあり、今でもリトアニア国民は「ポーランドには負けたくない」という意識が強いと聞いた。それだけにポーランド戦に対する気合はいつでも高い。
 
 ポーランドが金曜日のチリ戦から、CBベドナレク、MFクリホビアク、CFレバンドフスキ以外、スタメンを7選手も入れ替えたということもあり、リトアニアは序盤、前線から鋭く追い込み、相手のミスパスを何度も誘発していた。
 
 こうした相手に対し、どのようにチャンスを作り出し、試合運びをするのか。
 
 ポーランドは、守備時は3-4-3。攻撃時には、右CBに入ったイェンジェイチクがワイドに開き、右サイドのベレシンスキが高めのポジションに移行。レバンドフスキが空いたポジションに入ってボールを引き出し、ミリクとコフナツキが前線に残る。彼らを起点にサイドへ展開し、特に相手SBの裏スペースを執拗に狙い、相手守備を攻略していった。
 
 チリ戦では特に、後半に攻撃が停滞してしまっていたが、この日はうまく機能。試合後にレバンドフスキが、「今日はオフ・ザ・ボールの動きが改善されたのが良かった」と振り返っていたが、ボールを受けに戻ってくる選手、その選手が動いてできたスペースに飛び出していく選手のタイミングとコース取りがかみ合っていた。
 
 スペースへの飛び出しも、単純に縦への走り込みだけではなく、ハーフスペースから斜めに入ったり、相手選手の後ろを回り込んで走り込んだりと、バリエーションに富んでいる。それぞれの動きにスピードがあるので、リトアニアはついていこうと動いては、どんどん組織的にズレが生じていった。
 
 そして、ポーランドはサイドで起点を作っているあいだに、4~5人の選手がペナルティーエリア内へ入っている。この試合に生まれた4ゴールは、全てそうした連係から生まれたものだった。

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