スイス戦のPKは必然。不運ではない日本の致命的な欠陥

2018年06月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

“そういう状況”を作られてしまうところにこそ失点の原因が

スイス戦のPKは不運だったのか? 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 2018年6月8日、ルガーノの地で日本はスイスに完敗を喫した。立ち上がりからスイスに試合を上手くコントロールされ、0-2という結果も実力的に判断すれば妥当。ヨーロッパでは決して"大国"の部類には入らないチームにさえ、歯が立たなかったのが現状だ。
 
 ただ、あの不可解なPKさえなければ試合は分からなかったとの見方もあるだろう。実際、武藤嘉紀は「失点の仕方もこの2試合は運悪く……」と言っている。
 
 確かにスイス戦の41分のシーンで吉田麻也はエムボロを引っかけていないように見えるし、誤審と言われても仕方ない。また、その前のガーナ戦でもFKをたまたま直接決められてしまったのかもしれない。
 
 とはいえ、これらを不運のひと言で片づけていいのだろうか。同じような事象(PKとFKでの失点)が続いているのだから、むしろ必然とも言える。スイス戦に関しては「PKだからしょうがない?」という質問に対し、長友佑都は次のように答えている。
 
「それは違いますよ。僕もディフェンスなので、たまたまPKを与えたのが僕ではなかったですけど、これが自分と言うのもあり得るわけで、だからこそペナルティエリアに入った時の守備というのは、もっと冷静にならなきゃいけないし、足を出すのは最後なので。そこの冷静さも含めてチーム全体で持てないと厳しくなりますよね」
 
 長友の見解によれば、ペナルティエリア内の守備の仕方に問題があるとのことだが、やはり世界的なタレントとエリア内で1対1になると止めるのは難しい。そういう状況を作られてしまうところにこそ、失点の原因があるのではないか。スイス戦のPKに関しては、酒井宏樹が興味深いコメントを発している。
 
「PKに関しては、あれは当たっていようがいまいが吹かれる。(相手の)倒れ方も上手いですし、(吉田)麻也くんの状態になる前にいかないといけない。だから、麻也くんのせいではない。チームとして、その前に防げていたし、(ボールを)取るべきところで取れなかったのが全てだと思う」
 
 日本が試合で失点を重ねている原因は、ペナルティエリアに入られる前──バイタルエリアでの守備の脆さにある。とりわけ今は日本の右サイドから崩される傾向にあるが、これは日本の致命的な欠陥とも言えるだろう。事実、3月のウクライナ戦もバイタルエリアでのディフェンスが疎かで2ゴールを許している。
 
 スイス戦のPKは事故などではなく、必然。バイタルエリアでの守備の仕方を改善しないかぎり、失点は減りそうにない。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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