【日本代表|GL突破への3か条】8年前の南アフリカ大会のようなツキがないと

2018年06月12日 加部 究

ベテラン勢に“いつかやってくれる“の期待は意味を成さない

成長を見込めないベテランには早々に見切りをつけるべき。西野監督の舵取りが鍵になる。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 コロンビア、セネガル、ポーランドと難敵揃いのグループH。格上の相手ばかりのグループリーグを、日本代表が勝ち抜くためには何が必要なのか。〝下剋上〞を起こすための3か条を見識のある7人に訊いた。

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加部 究(スポーツライター)

日本のグループリーグ突破への3か条
その1 コロンビア戦をなんとか引き分けで凌ぐ
その2 ベテランへの見切りを早め発想の転換を
その3 調子優先で厳格に競争原理を導入する

 現実的に「グループリーグ突破」と「日本らしい内容」の二兎を追うのは難しい。西野監督は結果にこだわる発言を貫くが、どうやら「日本らしく戦う」ほうに傾いているので、率直に言えば、前者の目的を果たすには他力本願の後押しが要る。
 
 つまり8年前の南アフリカ大会で初戦の相手カメルーンが内紛で自滅してくれたようなツキがないと、グループで2位以上に滑り込むシナリオは見えてこない。特に初戦からグループ内で最も安定したコロンビアに叩きのめされてしまうと、そこで希望とモチベーションが低下してしまう。
 
 一方でノスタルジー優先の人選をした日本代表に、これからできることは少ない。本来、東京五輪世代を数人は入れておくのが開催国の常道なのに、4年前から上昇曲線を描けていないベテラン勢で枠を埋めてしまった。結局、前回と酷似したメンバーで世界と戦えるかを本番で再確認することになるが、せめて経験者ほど早く見切り新しい可能性を探る作業に躊躇しないで頂きたい。すでに百戦錬磨のベテラン勢に"いつかやってくれる"の期待は意味を成さない。ガーナ戦後に指揮官自ら語ったとおり「自分の頭の中もスピードアップ」した采配を望みたい。

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PROFILE
かべ・きわむ/ 58年生まれ、群馬県出身。新聞社を経てスポーツライターへ。著書は『世紀の番狂わせはなぜ起きたのか? 1982イタリアvsブラジル』など。
 
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