西野ジャパンは"レギュラー"と"サブ"の溝を埋められるか? 過去5大会から学ぶ16強進出の条件

2018年06月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

ジーコ監督のレギュラー偏重主義に「オレらは必要ないじゃん」と口にする選手もいた

ピッチ内外でチームに貢献できる岡崎はリーダー候補のひとりだが……。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「チームがひとつになっていなかった」
「一体感が欠けていた」
「選手間でやろうとすることにバラつきがあった」
 
 ドイツ・ワールドカップ、ブラジル・ワールドカップでグループリーグ敗退後、選手たちから聞こえてきた言葉である。これらはワールドカップで勝てなかった主因のひとつであり、そのウェイトは大きい。
 
「一体感」は、どうやって作り出されていくのか。

 ワールドカップ本番前までの合宿は、各自コンディションを上げ、戦術面を煮詰めていく作業が進められていくが、この期間はチームの「一体感」を作り上げていくための時間でもある。
 
 一体感を作り上げていくというのは、自然とそうなるセンスを日本人は持っているから容易にできると思われがちだが、実はそれほど簡単なことではない。
 
 チームにはいわゆるレギュラーとサブの選手がいる。

 通常、最終予選を戦ってきたチームであれば、この時期の合宿ではその両者が明確に分かれ、レギュラーが軸になったトレーニングが行なわれていく。そのために合宿中はサブ組の選手のストレスがたまり、チーム内がなんとなくギクシャクしてしまうケースが多い。
 
 過去の大会を例に考えるとドイツ・ワールドカップ、ブラジル・ワールドカップの時は大会前、両者の区別が厳密になり、サブ組にはほとんどチャンスが与えられなかった。

 特にドイツの時は最後の親善試合となるマルタ戦で本来はサブ組が試合に出る予定だったが、急遽レギュラーが出ることになり、試合内容の悪さも相まってチームの雰囲気がおかしくなった。ジーコ監督のレギュラー偏重主義に「オレらは必要ないじゃん」と口にする選手もいた。そうなると「やってやろう」という気持ちが薄れていく。それでは一体感を作り上げていくのが難しい。
 
 西野監督は、サブの心理について理解し、気遣いができる監督である。

 ガンバ大阪時代もスタメンやベンチから外れた主力選手には必ずその理由を説明していた。今回、スイス戦やパラグアイ戦では多くの選手を試そうとしているようだが、それはチームにとってポジティブな効果を生む。誰にでもレギュラーを獲得するチャンスがあるというのは選手にとって大きなモチベーションになり、プレーも積極的になる。
 

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