駒場から始まる逆襲!! 浦和の18番・山田直輝が「やっと帰ってこれた」と感じたワケ

2018年06月07日 塚越 始

ゴールが決まったあと、山田を讃えるチャントがスタジアムを包んだ

天皇杯2回戦のYS横浜戦でトドメの3点目を決めた山田。復帰後、ホームでの初ゴールにサポーターも盛大なチャントを送った。写真:徳原隆元

 浦和のハート、山田直輝――。雨の駒場スタジアムに足を運んだ4,000人を超す浦和サポーターの心のこもったチャントが響いた。

 浦和が2-0でリードして迎えた、試合終了間際の90分だった。

何とかして1点を奪おうとするY.S.C.C.横浜の背後にできたスペースを、浦和が巧みに突く。そして武藤雄樹のシュートのこぼれ球を冷静に押し込み、山田が試合を決定づける3点目を奪ってみせた。

「武藤くんが『絶対にシュートを打つぞ』って顔をしてドリブルをしていたので、ならば、こぼれ球を狙いに行こうと思ったら、いいところにボールが来ました。信じて走って良かったです」

 山田は笑顔をこぼす。

 リーグ戦では開幕から出場機会を得られずにいた。ただオズワルド・オリヴェイラ監督の就任後、途中出場のチャンスは次第に増えていった。指揮官の期待も感じ取っていた。

 この日は先発した長澤和輝がシュートを打ったあとに肩から落ちて負傷退場するアクシデントに見舞われた。すると急きょ、試合開始からわずか19分でピッチに立つことになった。本人ももちろん、チームメイトの思わぬ事態に驚き、少なからず動揺した。

 とはいえ、山田にとっては貴重な出場機会。この機会を生かすしかない。

「(なかなかレギュラーで出られずにいたが?)状況は1試合、1プレーで変わると思っています。そのために、準備をしてきました。今日はしっかり準備をして結果を残せて良かったですけれど、続けて、ルヴァンカップ、Jリーグで力になれるように、1日1日を大事にしていきたいです」
 
 ゴールが決まったあと、山田をたたえる合唱がスタンドを包んだ。駒場ならではの声が反響。この日一番の盛り上がり。山田が主役となった。

「帰ってきて、なかなか出場機会がなくて、うまく自分の力を出せず、この応援歌をホームで聞くまで(ルヴァンカップのアウェー戦で一度)半年ぐらい時間が掛かった。やっと帰って来れたなと、少し感じることができました」
 
 山田は安堵したように言った。

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