【総体】目標は高卒でのプロ入り!東北屈指の守備者が全国での躍動を誓う!

2018年06月05日 小林健志

キャプテンと後輩GKからも絶大な信頼を寄せられている

昨年の選手権にも出場するなど、志村は現在のチームでもっとも経験値を持っている存在だ。写真:小林健志

 6月4日にインターハイの宮城県予選決勝が行なわれた。

 仙台育英は東北を相手に立ち上がりから試合を優位に進め、前半9分にFW菅井大翔(3年)のゴールで先制。後半も13分にMF仲澤岬希(3年)のクロスからDF今野太勢(3年)、同24分にはDF神谷玲音(3年)のお膳立てからFW三田大史(3年)が得点を重ねた。終わってみれば3-0で完勝。3年連続となる19回目のインターハイ出場を決めた。

 今年の仙台育英の持ち味は堅守だ。県予選で喫した失点は3日の準決勝・利府戦でセットプレーから奪われた1点のみ。決勝の東北戦も相手に決定機をほとんど作らせなかった。その堅守を支えるディフェンスリーダーは、昨年も多くの公式戦に出場し、全国大会での経験も豊富なDF志村滉(3年)だ。

 志村はベガルタ仙台ジュニアユース出身。兄・MF志村大海(現・富士大4年)の後を追い、仙台育英に進学した。中学時代からCBで以外にSBでプレーする機会もあったが、高校入学後はCBに固定。ヘディングの競り合いに滅法強く、キック精度の高さを生かしてビルドアップの起点になれる万能型の守備者として評価を高めてきた。
 
 城福敬監督は志村を評して、「自分の感情をセーブできるようになってきました。以前よりも冷静さが出て、イエローカードをもらうことが無くなってきました」と成長を語る。昨年までは冷静さを欠き、ファウルをしてしまうことがあったが、最高学年になったことで自然と落ち着きが生まれた。「2年生の時は先輩に助けてもらっていました。3年生になり、自分が後輩を助けようと思っています」と本人も自覚が芽生えている。
 
 そして何より魅力なのが強烈なキャプテンシーだ。最終ラインから大声で周囲を鼓舞し、的確な指示を与える。「ディフェンスラインなので普段から誰よりも声を出そうと思っています」と語る志村に対し、主将の左サイドバック、堀江凛太郎(3年)は「自分がキャプテンマークを巻いているのですが、あいつの方がキャプテン向きかもしれません。いるといないのとではだいぶ違いますし、頼りになります」と絶大な信頼を寄せる。

 GK佐藤文太(2年)も「滉君だけが声を出しているだけじゃダメです。自分ももっと声を出そうと思っています」と志村に刺激を受け、自身も積極的に声を出すように。主将からも頼られ、後輩GKの良き手本となる志村の存在感は絶大だ。
 
 そんな志村は「全力でプロを目指したい」と、高卒でのJ入りを強く志望している。

「自分の武器であるヘディングやロングキックは県内なら負けない自信はありますが、全国でもトップクラスになりたいです。技術的なところだけではなく、フィジカル面でも成長しなければなりません」とさらなるレベルアップを目指す。インターハイの目標は「個人的なプレーでも凄いと思えるプレーを見せて、チームの勝利につなげたいです。やる以上は優勝したいですが、まずはベスト8を目指したいです」

 元甲府のDF熊谷駿(現アルビレックス・シンガポール)を擁し、16強入りを果たした4年前のインターハイを越えるベスト8進出を目指す仙台育英。三重の地でも志村が最後尾で存在感を見せられるか。その一挙手一投足に注目だ。

取材・文●小林健志(フリーライター)

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