守護神に18歳GKを抜擢! セルビア人新監督の哲学はJ2残留圏ギリギリの京都を変えられるか?

2018年06月04日 安藤隆人

新監督就任2試合目で、出番のなかった18歳をスタメン起用

14節の徳島戦でJリーグデビューを果たした若原は、以後4試合連続フル出場を続けている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 久保世代が巻き返しの起爆剤へとなるのか――。

 今年5月上旬にJ2リーグにおいてJ3降格圏内に沈み、成績不振に陥ったチームを立て直すべく、布部陽功監督の退任が発表され、後任にはセルビア人コーチのボスコ・ジュロブスキー氏が就任。大ナタを振るったクラブの決断に呼応するように、ジュロブスキー監督は早速チームの抜本的な改革に乗り出した。そのひとつが若手の抜擢だった。

「私の哲学は若手にチャンスを与えること。このチームがより発展していくためには、若手にチャンスを与えることが重要だと思っている」。

 この言葉通り、ジュロブスキー監督は就任2試合目となる14節の徳島戦から昨年昇格したばかりでそれまで出番のなかった18歳GK、若原智哉を抜擢。さらに16節の横浜FC戦ではユース所属の17歳の高校3年生・上月壮一郎をスタメンに抜擢し、ベンチにも上月と同じユース所属の17歳・福岡慎平を入れるなど、積極的にチームに刺激を与えた。

 そして迎えた17節のアウェー・金沢戦。ジュロブスキー監督就任後、1勝3敗と結果を残せないでいたチームだったが、この試合では3-1の快勝を収め、21位の愛媛に勝点4差をつけて、ひとまず降格圏から抜け出すことに成功した。

 この試合、勝利の立役者となったのがGK若原だった。0-0で迎えた19分、金沢に縦パス一本で最終ラインを破られるが、フリーで抜け出したFW加藤大樹に対し、しっかりと面を作ってコースを遮って応対すると、加藤のシュートは左のサイドネットに引っかかった。

 若原の冷静なポジショニングが光る守備で大きなピンチを凌ぐと、27分には金沢DFの廣井友信の不用意なバックパスを拾ったMF仙頭啓矢が冷静に決めて、先制点を叩き出した。

 これでさらに集中力が高まった若原は、27分には左サイドをFW垣田裕暉に完全に破られ、マイナスの折り返しからMF藤村慶太にダイレクトで狙われるが、ゴール右隅に転がっていったシュートを横っ飛びで完璧に反応。両手でエンドラインにはじき出す。
 
 31分にもDF毛利駿也の短いクロスに飛び出すと、途中までキャッチに行くが、垣田が突っ込んでくるのを見た瞬間にパンチングに切り替えて、タッチラインまではじき出した。その後、垣田と交錯してファウルをもらったが、もし強引にキャッチをしにいっていたら事故が起こったかもしれない際どいシーンだった。

 前半アディショナルタイムにも金沢のDF沼田圭悟の右隅を突いた鋭いフリーキックを横っ飛びでセーブ。18歳の守護神の活躍で前半を1点のリードで折り返した。

 後半に入ってからも若原の集中力が落ちることはなかった。守備陣と上手く連係をとりながら後ろを安定させると、76分にDF石櫃洋祐が直接FKを沈めて追加点。さらに88分にはCKから途中出場のFW大野耀平がヘッドで試合を決定付ける3点目を上げた。
 

次ページ勝利を収めた金沢戦で若原は確かな手応えを掴んだ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事