［キリンチャレンジカップ2018］日本０-２ガーナ／５月30日／日産スタジアム
 
　原口元気にとってガーナ戦は、試行錯誤の連続だった。
 
　前ハリルホジッチ体制では、４-２-３-１のサイドハーフや、４-３-３のウイングを担っていたが、西野朗新監督が導入した３-４-２-１システムで、原口は右ウイングバックを主戦場とすることになった。
 
　新体制での初陣となったこのガーナ戦では、慎重に試合に入ったが、やはり新しいポジションとあって、初めはうまくいかない。開始早々に背後を突かれるシーンも見られた。
 
「最初１本裏を取られて、『あ、こういう感じか』と思って、その後、ディフェンスにいってかわされて、また『あ、こういう感じか』って。次はやられないように意識してから、その後はやられなかった。いろいろ気付くことがあった。実際にやってみないと分からない部分がある」
 
　試合の中で、少しずつ修正を重ねて、ウイングバックの役割とそのコツを掴んでいった。
 
「正直はめにくいシステムだから、スムーズにははまらない。最初はちょっと引いてブロックを作って、途中から（吉田）麻也君が変えて僕を前に押し出してくれたので、俺はサイドハーフにプレッシャーにいけるようになって、ようやくはまりだした」
 
　前半途中から徐々に攻守のバランスがとれるようになってきた原口は、持ち前の豊富な運動量を発揮。相手のサイドハーフの動きを警戒しながらも、攻撃に転じれば、すかさずタッチライン際を駆け上がり、チャンスメイクにも精を出した。
 
　13分の大迫勇也へのクロスをはじめ、何度もサイドをえぐり得点機を演出。交代する前半終了まで走力という面において、相手のサイドハーフを圧倒した。「駆け引き的には俺のほうが勝っているシーンが多かった」という言葉に大きな手応えも窺える。
 
「もし俺が相手のサイドハーフだったらすごく嫌だと思う。つきにくいから。あんなところ（タッチラインギリギリ）に張られて、何度も裏に走られて。SBにマークをチェンジするのってすごく難しいから。そういう意味では、初めてにしてはうまくやれたなとは思うし、それを極めていけば、ビッグチャンスができる。なんとなく、そんな手応えは掴めている」
 
　もっとも、まだ１試合を終えたばかりでまだまだ未熟なうえ、０-２の敗れた試合で噴出した課題は山積みだ。ロシア・ワールドカップのメンバー入りを前提に話せば、本大会で採用するにはまだまだ大きな不安が残る。
 
　残り約３週間でどこまでこのシステムを会得できるのか。原口にとって新たな試練が訪れている。
 
取材・文●多田哲平（サッカーダイジェストWEB編集部）