「1試合で状況が一変した」長友佑都がグループリーグを突破した10年大会を回想

2018年05月28日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「サッカーは本当に分からない」と語った長友ともの記憶には…

3度目のワールドカップに向け、順調な仕上がりを見せる長友。左ウイングバックで躍動することを誓う。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 過去2大会を経験している男は現在のチーム状況を冷静に見ている。
 
 5月28日、今合宿で初めて非公開トレーニングを行なった日本代表。明後日に控えるキリンチャレンジカップのガーナ戦、そしてその先にやってくるロシア・ワールドカップへ向け、準備に余念がない。
 
 4月9日に新指揮官の座に就いた西野朗監督は3バック導入を目論んでおり、急ピッチで戦術の落とし込みを図っている。役割やポジションも変わるため、各選手たちは新システムへの理解を深めている真っ最中だ。

 ハリルホジッチ体制では左サイドバックを主戦場にしていた長友佑都もそのひとりである。豊富な運動量がウリの男は3-4-2-1の左ウイングバックに配置転換。インテル時代に経験しているとはいえ、前体制時よりも高い位置でのプレーを求められ、攻守で多くの役割を課せられている新ポジションの習得は一筋縄でいかない。

 本人もタスクが多くなることを自覚している。「やることが相当ありすぎて、役割はかなり増える。守備で1対1に負けないことはもちろんですけど、攻撃もより前に行かなければいけないし、ゲームを作ることもやっていかないといけない」というように運動量に加え、攻撃の組み立てという新たな役割にも挑戦中だ。
 
 時間がないなかで個人に加え、チームとしても新たなフォーメーションをマスターしなければいけない。ロシア・ワールドカップ開幕までに3試合しか残されていない状況を考えれば、難易度の高いミッションと言えるだろう。
 
 だが、長友は今の状態をネガティブに捉えていない。なぜならば、過去2度のワールドカップ出場経験があるからだ。

 2010年の南アフリカ大会では大きな不安を抱えながらも、初戦のカメルーン戦で勝利を挙げて勢いに乗るとベスト16進出を果たした。逆に前回のブラジル大会では期待されながらも、1分2敗でグループリーグ最下位。様々な状況下でプレーをしてきた男は、盤石の体制を築いたとしても必ずしも勝てるとは限らず、苦戦を強いられても大会開幕後に勢いに乗れば結果に繋がった現実を見ている。
 
「個人的にも監督交代も数多く経験してきましたし、良い状態のチームを作れていても結局、ブラジル大会は結果が出なかった。逆に南アフリカの時は悪い状態で、かなりネガティブな状況で大会に入ったけど、1試合で状況が一変したので、サッカーは本当に分からない」
 
 だからこそ、長友が強調するのはチームの雰囲気。「一番大事なのはチームがひとつになって、ポジティブな雰囲気になる。選手もスタッフも含めてそういう空気が流れているのが、一番僕は大事な部分だと思う」と長友が語るように、チームを包む良好なムードこそが、最良の結果を掴む確率をグッと高めることは間違いない。
 
 酸いも甘いも知る男の存在は、日本代表にとって頼もしいばかりだ。

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