「ネイマールは王様でもなんでもない」仏誌編集長がブラジルの至宝の“真価”を一刀両断!

2018年05月15日 レミー・ラコンブ(フランス・フットボール誌編集長)

ピッチ内外でものの見事に裏切られた

PSGサポーターの心を掴めずにいるネイマール。ではラコンブ編集長は「マドリー行き」をどう見ているのか。(C)Getty Images

 ネイマールが5月13日、今シーズンのリーグ・アン最優秀選手に選出された。2月25日のマルセイユ戦でくるぶしを傷めて以来、まったくプレーしていなかったにもかかわらず、選手投票で栄えあるシーズンMVPを受賞したのである。
 
 もっとも、インパクトを想起させるデータはある。20試合に出場しただけで19ゴール・13アシストという数字を刻んだのだから。つまりこのブラジル人は、スペイン・リーグにいたときよりも高い効率性を示したことになる。
 
 とはいっても、人びとが待望していたのは、このコンペティションにおける活躍ではないのだ。特大の期待を寄せていたのはほかでもない、チャンピオンズリーグでの躍動なのであって、彼の通信簿はさほど途方のないものにはなっていない

 
 たしかに、レアル・マドリーと戦ったラウンド・オブ16のセカンドレグ(1-2)には出場できなかった。では出場したファーストレグ(1-3)の内容はどうだったか。褒められたものではなかっただろう。グループステージで、バイエルン・ミュンヘンと敵地で対戦したときも、パフォーマンスはいただけなかった。パリ・サンジェルマン(PSG)はその試合も1-3で落としているのだ。
 
 もちろん初のビッグイヤー獲得をなし得ず、今シーズンもCLが失望に終わってしまったのは、なにもネイマールひとりの責任ではない。ただ、ブラジル代表のエースがPSGを欧州最高峰の舞台でステップアップさせるだけの実力を発揮できなかったのも、また事実なのだ。
 
 ものの見事に裏切られたのは、ピッチ内外での立ち居振る舞いも同様である。
 
 試合中はやたらと相手選手に挑発を繰り返し、審判にもたらたら不平不満を言うばかり。その結果、どうなったか。ひたすら対面したマーカーを苛立たせ、激しく当たられたり削られたりで、みずから墓穴を掘ってしまったのだ。リオネル・メッシも多くの場面でドリブルを試みるが、彼はこのブラジル人のようにドリブルで相手を"辱めてやろう"とはしない。
 
 では、ピッチ外ではどうだろう。
 
 こちらでもネイマールは、「パリで幸せ」という印象も与えなければ、「ここが自分のクラブだ」という感情も醸し出していない。怪我を負ったあとも2か月以上はブラジルで過ごしたわけで、PSGで起きていることについてはまるで無関心だった。
 
 4月15日、PSGはモナコを木っ端微塵に粉砕して(7-1)、ついにフランス・チャンピオンの座を射止めた。その夜も、ネイマールは自身がポーカーゲームに興じる写真をインスタグラムにアップしたのだ。下品極まりないコミュニケーション・ミスだろう。

次ページでは、来シーズンも彼は、パリにいるのだろうか?

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