「まだまだ強くなる」 首位独走の広島に漂う自信の源は“つながり”にある

2018年05月13日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「成功体験がつながっている」

仙台を下して4連勝を飾り、広島のイレブンはサポーターと勝利を分かち合った。写真:早草紀子

[J1リーグ14節]仙台 1-3 広島/5月12日/ユアスタ
 
「ここからさらに進化してまだまだ強くなる」
 
 仙台を3-1で下し、広島の青山敏弘はそう言って胸を張った。アウェーで白星を挙げ、これで11節の長崎戦から4連勝。勝点を37に伸ばし、2位に11ポイント差(5月12日時点)をつけて首位を独走中だ。14試合で12勝1分1敗の好成績を残している理由について、キャプテンは一言でこう述べた。
 
「成功体験がつながっている」
 
 その代表格は堅守だろう。開幕から粘り強い守備を続け、クリーンシートは14戦で10回にのぼる。その回数が自信につながり、今季の最大のストロングポイントになった。12分にゴールを許した仙台戦は、その原点があるからこそ、失点直後に「みんなを集めて(守備を話し合って)締め直すことができた」(青山)
 
 また攻撃に関しても、ゴール数が少なかった開幕直後に比べ、今では複数得点を記録している。セットプレーや試合の流れの中の崩しでもネットを揺らせるようになり、攻撃パターンは多くなった。何より、パトリックが5節の川崎戦の今季初弾を皮切りに、ゴール量産をしているのが大きい。
 攻守ともに成功体験を積み重ね、強さになって勝ち続けられているのだろう。だが、「すべてつながっている」と言う城福浩監督は、"失敗"についても説明する。
 
「3日前に2-0から3点を取られて逆転されて、全員が心に思うところがあった。だから、今日は後から入った3人はエクセレントだったと思う」
 
 指揮官が回想したのは、2-3で逆転負けを喫したルヴァンカップのG大阪戦だ。その試合に出場したティーラシン、吉野恭平、川辺駿は仙台戦で途中出場し、3日前の反省を活かして勝利に貢献した。
 
 振り返れば城福監督は、今季初黒星となった10節のFC東京戦(1-3)について、こんなことを言っていた。
「我々の1敗はただの1敗にしたくない。あのタイミングで負けたからこそ、あの悔しさを晴らすには、もう一度連勝するしかない」
 
 まさに宣言通り、FC東京に敗れてから4連勝だ。成功だけでなく、失敗も次の勝利につなげ、その繰り返しが自信になっている。
 
 先制パンチを食らいながら逆転で勝った仙台戦は「自信になるような逆転勝利だった」(青山)。また成功体験をして、いっそう強くなった広島が次の試合でも見られるだろう。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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