【川崎】劇的勝利の裏側にあったある変化。鍵を握ったルーキーボランチの存在

2018年05月13日 本田健介(サッカーダイジェスト)

チームが勢いづく一勝に

3試合ぶりの勝利を喜ぶ川崎の選手たち。劇的な形で柏を下した。写真:徳原隆元

[J1リーグ14節]柏1-2川崎/5月12日/三協F柏
 
 前節のFC東京戦で2年半ぶりの連敗を喫した川崎が、苦しみながら3試合ぶりの白星を掴んだ。それもJ1デビューとなった鈴木雄斗が、後半アディショナルタイムに逆転ゴールを決める劇的な勝利。
 
「試合前のミーティングで自分たちのターニングポイントにしようという話が監督からあった。シーズンが終わって優勝した時にこの試合で自分たちは盛り返したんだという風にしようと。先制されたが、皆その言葉を信じてやれたと思うし、最後に勝って帰るという気持ちを出せた。去年もこういう試合がたくさんあったが、同じような一体感を出せていたと思う」
 
 キャプテンの小林悠がこう胸を張ったように、チームが勢いづく一勝になったことは間違いない。
 
 ただ32分には伊東純也に先制ゴールを許し、前半は柏の激しい守備に苦戦を強いられた。その劣勢を受け、鬼木達監督はハーフタイムにある指示をしたという。
 
「後半のところで言いますと、守田(英正)をアンカー気味と言いますか、アンカーではないんですけどもCBの前でしっかりカウンターのケアをして、(大島)僚太が攻撃に重点に置けるよう指示は出しました」
 
 4-2-3-1が基本布陣の川崎にとって、中盤は2ボランチ+トップ下がベーシックな形だ。この日も守田と大島が2ボランチを組み、中村憲剛がトップ下を務めた。もっとも後半は守田が中盤の底をひとりでカバーし、その前に大島と中村が並ぶいわゆる"逆三角形型"を構成する時間が増えたのだ。
 
 戦術の幅を広げた守田は「前半は僚太くんが下りることが多くなって、憲剛さんも下りるシーンがありました。あまり良いバランスが取れなかったので、後半は自分が落ち気味で僚太くんを前に行かせました。スタートポジションはあくまで2枚(ダブルボランチ)。ただ流れの中で変えた形です」と振り返る。

 58分に小林がスーパーミドルを突き刺した点も大きかったが、前線の枚数を増やしたことが逆転への布石となった。
 
 本来はパスサッカーを支えるエドゥアルド・ネットが大島の相棒を担うが、この日は守田が先発し、貴重なオプションが生まれた。「守備では持ち味を出せている」という本人の言葉通り、これでリーグ戦10試合目の出場となった大卒ルーキーは、戦い方のレパートリーを広げる貴重な存在になっている。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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