その生い立ちは“格闘技”!? J1首位・広島の堅守を支えるCB野上結貴の原点は?

2018年05月11日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「球際に関しては凄く厳しいチームだった」

野上は球際の強さを武器に広島の堅守を支える。写真:徳原隆元

[J1リーグ13節]広島2-0神戸/5月6日/Eスタ

「野上(結貴)が空中戦で、本当によくウェリントンと対峙してくれて、頼もしかった」

 2-0で勝利した神戸戦後、広島の城福浩監督はCBの野上結貴を手放しで称賛した。大型ブラジル人FWとのマッチアップで互角以上の戦いを見せたわけだが、この試合だけでなく、今季の背番号2の働きは目を見張るものがある。例えば6節の柏戦でも、クリスティアーノに対して、ことごとく対人プレーや空中戦で競り勝っていた。

「(対人で)自分が主導権を持っている試合が多い。(相手を)潰して攻撃に転じることや、そこ(1対1)で相手の攻撃を終わらせている。手応えはありますね。ウェリントンに関しては、やりがいがありました」

 そう言って野上は胸を張った。たしかに、ほとんどの試合で対峙したストライカーとの球際の争いでは負けていない。11節の長崎戦では、1点目にこのCBがピッチ中央で相手を潰したことが攻撃の起点になり、そこからゴールにつながっている。
 
 J1首位チームの堅守を支えているだけに、気になったのがその生い立ちだ。いったい、いかなる過程を経て野上は球際に強いCBになったのだろうか。中学からプロ入りまで、野上の成長を探ってみた。
 
 まずはジュニアユース時代。所属していたワセダクラブForza‘02は、FC東京の田邉草民などを輩出した東京の強豪である。野上は少し遠慮気味に回想する。
 
「あんまり試合に出ていなかったので、話しづらいけど…(苦笑)。ヘディングや対人の練習はよくしたし、テクニックのトレーニングも多かった。だけど、ゲームになったら結構ロングボールが多くて、『蹴れ!行け!』っていうゴリゴリのチームだった。そういう面では、攻守両面で対人能力は鍛えられたと思う」
 
 中学時代を振り返っている途中、野上は自ら「僕としては高校の方が、ヤバかった(笑)」と高校時代に話を移した。在籍チームは保善高校サッカー部。よっぽど、練習内容が凄かったのだろう。野上の口が途端に立つようになる。
 
「結構ヘディング練習をしたし、球際のトレーニングは相当。話せないぐらい、格闘技のような(笑)。単純に球際をガシャン!って戦うだけの練習もあった。たぶん、今はそういう練習をやっていないと思うけど。もちろん、ロングキック、戦術、テクニックにも取り組んだ。でも、球際に関してはすごく厳しいチームだった」

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