来季の名古屋加入が発表された東海学園大FW榎本。公式戦デビューも「プラマイ、ゼロ」

2018年05月10日 平野貴也

得意の高速ドリブルで仕掛けた榎本は自己採点について聞かれると…

デビュー戦としては、まずまずのプレーを見せた榎本。その出来は今後の飛躍を予感させるものだった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 3月に異例の早さで来季の加入内定が発表され、名古屋の特別指定選手となった東海学園大のアタッカー・榎本大輝がJ公式戦デビューを飾った。

 5月9日、ルヴァンカップCグループ・5節の浦和戦に先発フル出場。試合は0-2で敗れたが、前線で果敢な仕掛けを見せた。榎本は「とりあえず、自分の特長であるドリブルをアピールしようと思って、仕掛けに行って良い形で入れたのは良かった」と手応えを話した。スピード感溢れるドリブルは試合序盤のハイライトだった。

 スペースでパスを呼び込むと、迷わずに高速ドリブルを披露。10分には左サイドからカットインを仕掛けて逆サイドにグラウンダーのパスを送り、深堀隼平のシュートにつながる決定機を演出した。

 しかし、33分に浦和のマルティノスに先制点を奪われた後は、チームがトーンダウン。榎本は後半、ボールを呼び込めず、自陣からの縦パスを奪われて追加点を決められた。試合自体は楽しめたと話したが、後半については「失点に絡んでしまったので、そこだけは『嫌だなあ』という感じです。なかなか、自分のタイミングでパスをもらえなかったし、デビュー戦で周りがよく見えていない部分もあったし、相手の速さに潰された。(プロの)洗礼っていう感じですね。(失点場面は)当たり前ですけど、あんなところで取られたら、やられる。自己採点?プラマイ、ゼロですかね」と話し、少し顔を歪めた。

 榎本は千葉県出身。徹底して個人技を磨く中央学院高で活躍し、東海学園大に進学した。2年生だった昨季はFC岐阜の特別指定選手となったが、大学との兼ね合いで思うように参加できず、公式戦には出場できなかった。3年生になってようやく味わえたプロの公式戦は、驚くことが多かったという。

 大きなスタジアムで試合をすること自体が初めてで、大声援も初体験。相手のレベルの高さにも戸惑った。前半、日本代表の槙野智章に1対1を仕掛けて止められた場面は「抜けなくて悔しかったです。抜いてやろうと思ったんですけど、速かったです。全然違ったし、強いですね。見たことのない感じでした」と驚きを隠さなかった。

 あらゆる面で勝手が違う。ドリブルの速さと技術が通用する手応えは得たが、「今までは好き勝手にプレーさせてもらって来たので、その分のツケが今になって回って来た。特に守備の動きがまだ分かっていなくて、頭がいっぱい。取られたら(守備の位置は)どこ、どこ?という感じ」と明るくも自虐的な表現で課題を語った。

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