【番記者通信】称賛すべき、指揮官の決断|R・マドリー

2014年02月25日 パブロ・ポロ

最大の補強は「アンチェロッティ」

イスコをベンチで起き、ウイングのディ・マリアを中盤センターで起用。アンチェロッティの英断がずばりとハマり、マドリーは10月末から公式戦無敗を継続。 (C) Getty Images

 開幕前のプレシーズン。遠征先のロサンゼルスで、番記者仲間とフロレンティーノ・ペレス会長を囲み、雑談を交わした。練習場として借用したUCLAのキャンパスで、ペレスは嬉しそうに話していた。

「今シーズンはエジルでも定位置を確保するのは難しいだろう。イスコも来たことだ。競争はさらに激しくなる」

 夏場の楽観は、得てして、過ぎ行く夏とともに消えてしまうものだ。プレシーズンでの構想が、そのまま結実する可能性はそれほど高くない。実際、メスト・エジルは移籍期限最終日の9月1日にアーセナルへ移籍し、ペレスが目を細めた期待のイスコは、ここまでほとんどピッチに立てていない。今シーズンの新戦力でレギュラーと呼べるのは、ガレス・ベイルだけだろう。

 いわば小さくない誤算に見舞われながら、チームをまとめあげたカルロ・アンチェロッティ監督には、それだけに脱帽だ。数か月という時間は要したが、新指揮官は好守に素晴らしいチームを構築している。あの夏の合宿中、エジルがまさか出て行くとは、予想できなかったはずだ。称賛すべきは、その対応力と決断力だ。

 4-2-3-1から4-3-3へシステムを変更し、鳴り物入りだったイスコをベンチに置いた。ウイングのアンヘル・ディ・マリアをインテリオール(中盤インサイド)で機能させたコンバートも、最高の結果を呼んだアンチェロッティの英断だ。

 結果がすべてを物語る。アンチェロッティの就任からわずか38試合(全公式戦)で、チームは100得点を決めた。前任者2人よりも早い大台到達で、マヌエル・ペレグリーニ(現マンチェスター・シティ)は40試合、ジョゼ・モウリーニョ(現チェルシー)は42試合を費やしている。レアル・マドリー史上、アンチェロッティよりも早く100得点を記録したのは、ミゲル・ムニョスただひとりで、それも1960年まで遡る。

 24節を終えたリーガ・エスパニョーラは3位ながら、バルセロナ、アトレティコ・マドリーとは同勝点。10月末からは公式戦25試合無敗を継続中だ。

 絶対的な称賛を得るには、まだ至っていない。しかし、このアンチェロッティこそが、今シーズンのマドリーの最大の補強だったことは間違いない。

【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。

【翻訳】
豊福晋
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