チャンスは作るがゴール数は…敗戦を糧に進む湘南に残された"伸びシロ"

2018年05月04日 隈元大吾

1-2で敗れた柏戦も90分間を通して見れば悪いゲームではなかった

柏戦の後半の45分間はハイパフォーマンスを見せただけに、前半の2失点が悔やまれる。写真:徳原隆元

 3連勝はならなかった。G大阪と浦和にいずれも1-0で勝利して臨んだJ1リーグ12節、湘南はホームに柏を迎え、1-2で敗れた。
 
 難しい展開だった。テンポ良くパスを繋ぐ柏に試合開始間もなく先制されると、その後も押し込まれる時間が続いた。マイボールを再び失う場面も少なくなく、28分にはショートカウンターから追加点を奪われた。柏に掌握された45分間だった。
 
 かたや後半は湘南が盛り返した。追う展開のなか、交代選手も加わり前への推進力は増し、立て続けにゴールに迫った先で1点を返した。相手の反撃に対してはGK秋元陽太を中心に阻み攻撃へと繋げ、ゴール前の勝負に持ち込んだ。追いつくことはできなかったが、90分間を通して見れば悪いゲームではなく、それだけに前半の2失点が悔やまれた。
 
 求める結果に届かなかった経験はしかし、これまでにも枚挙にいとまがない。裏を返せば、数多の経験を踏まえて彼らの今はある。
 
 例えば0-1で敗れた4節のFC東京戦、相手のファインゴールの印象が強く、内容も決して悪くなかったが、スイッチを入れるプレーが攻守において少なかったと、彼らは自分たちのやるべきことを見つめ直した。続くC大阪戦は1-2で敗れたものの、内容にはFC東京戦の反省がしかと活かされ、そうして次の鹿島戦の2-1の勝利に結ばれた。
 
 あるいは9節の横浜戦、3-1から追いつかれ、結果4-4のドローに終われば、リードした後の振る舞いを見直した。また皆がボールに関わり、アングルを取りながらゴールへ向けて素早くボールを動かし、守備に転じれば粘り強く身体を張るといった自分たちの戦いを改めて見つめ、G大阪戦と浦和戦の1-0で勝利に繋げた。
 
 先制した試合は負けていない。反面、先制されると分は悪いが、1-1で引き分けた2節の川崎戦然り、ビハインドを負いながら追いついた試合も今季は印象深い。1-2で敗れた件のC大阪戦も、先制されながら今節の柏戦のように後半立て直し、一度は同点に追いつき、拮抗した展開に持ち込んでいる。
 
 チャンスの数に比して総得点は13とまだまだ伸びシロは多い。ただ、カウンターに偏らず、奪ったボールを素早く動かしながら主導権を手繰り寄せる戦いは、昇降格を繰り返し、今季以前より積み重ねてきた数多の経験の、これもまた"深化"にほかならない。
 

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